移住者インタビュー
基礎資格はあったもののケアマネはしていなかった澤本さん。移住後、地域のニーズもありケアマネジャー資格を取得、今では主任ケアマネジャーとして地域に根ざした支援を行っておられます。
澤本 志津 さん
綺麗な川を求めて高知県へ
私が高知に移住してきたのは、17年前のことです。
当時の私は看護師で、結婚して千葉県に住んでいたんです。キャンプやカヌーが趣味で、夫も誘って休みの日にはよく一緒に出かけていました。でも、近くには綺麗な川があまりなくって。次第に川を求めて遠征するようになって、最終的には川の綺麗な温暖な気候の土地に住みたいと思うようになったんですよね。
移住先は、候補をいくつかに絞って下見をしてから決めようと思っていました。その下見で高知に来たとき、川の綺麗さに心を打たれたんです。その時ちょうど台風の直後で。台風の直後って普通川の水量が多くて濁ってるイメージだったのに、それがすごく綺麗だったんですよね。それで高知に決めました。
当時は、移住という言葉もまだ一般的じゃなくて、相談窓口もなかったですね。
今で言う二段階移住になるんですが、最初っから田舎に行くんじゃなくて、一旦高知市に引っ越しました。職も住むところもなしにすぐに田舎は大変だろうという考えだったので。
高知市に住んでいた頃、私は看護師として特別養護老人ホームに勤務していて、夫は訪問診療マッサージを開業していました。その訪問診療マッサージについて地方新聞に掲載されたときに、本山町の大家さん――今も住んでる家の大家さんなんですけど、この方が「もしよかったら家空いてるんだけどどう?」って電話を掛けてきてくれたんです。
そのとき高知市で住んでいた家の大家さんも「汗見川って川があって、すごい綺麗ながよ」と本山町のことを紹介してくれていて。実際に本山町へは何度か訪れたこともあったので、じゃあここに決めるか! と移住先を本山町に決めました。
居宅介護支援事業所と通所事業を法人内で経営
本山町に来たときは最初の子が6ヶ月のときですね。
夫は本山でも開業して。私は本山町社会福祉協議会でパート勤務をしていたんですが、二人目の子の出産を機に退職して、ケアマネジャーの資格を取りました。
ケアマネジャーは子どもを育てながら働いていても時間的な融通が利きやすくって、夜勤もなく土日も休めると言うところにメリットを感じたんです。それと、利用者に対するケアの内容を利用者と一緒に自分で考えていけると思うと、以前からやってみたかったんですよね。
その後1年半くらいは居宅介護支援事業所でケアマネとして勤めていました。でも利用者の方をどうマネージメントしていくかをもっと慣習にとらわれずに突き詰めたいなと次第に思うようになったので、自分で居宅介護支援事業所運営を始めることにしたんです。
自分で事業所を経営するって、全部自分の責任に帰ってくるってことでもある。それでも自分がこんなことをしてみたい、こうできるんじゃないかってことを自分の判断でできるので、自分に向いていたんでしょうね。もう開業してかれこれ10年ほどになります。
ケアマネジャーの仕事は、遣り甲斐はやっぱりありますね。サービスが本当に少ないこの中で、何とか地域の在宅で生活したいって方は沢山いらっしゃって。どこまでいけるか、関わっている人や色んな人に色んなことをお願いして生活を維持していくために支援の形を作っていきます。
いわゆるインフォーマルな地域の支援は街中よりだいぶ多いと思います。それ以外選択肢がないってこともあるんですけど(笑)。難しいことではありますが、それだけ自分の仕事の価値を感じます。
法人内で、居宅介護支援事業所を経営しながら、通所介護事業(デイサービス)もやっています。というのも、地域の通いサービスでのレクリエーションになかなか馴染めていなかった男性の方がいらっしゃって、そんな方が来れるようなデイサービスがあったらいいなと感じていたんです。それで、今無いのなら新しく作ればいいじゃない? と思って。利用者の方一人一人からその方がやりたいことやそうじゃないことを聞き取って、一対一の関わりができることを目標にしています。
好きなところで暮らし、好きなことをすることが幸せ
今は忙しくてなかなかカヌーにもいけませんが、夏にはその辺の川に泳ぎに行ったりします。子どもも夏休み中は毎日泳ぎに行くんです、同級生の子や年上の子とも。そういうのは本当にかけがえのない子どもの頃の思い出なんじゃないかなと思いますね。
成長して都会に行くとしても、ここの良さを感じ取ってくれてるのではないかと思います。
法人の活動内容なんかをSNSで発信していたら、結構関東などの方から施設見学・話を聞きたいと連絡があったりもします。コロナ禍でお断りをしていたんですが、対策をしつつ少しずつ受け入れていこうと思っています。
有難いことに「本山で暮らして澤本さんと同じ仕事がしたい」とSNSからだったり知り合いから連絡をいただくこともあります。住宅事情などもあるのでまずは二段階移住を勧めています。
私、都会の街中の便利さというのも分かっています。交通手段や情報量の多さとか利点はあると思うし、都会に住みたい人は都会に住むべきだとも思います。
ただ、今は田舎でもオンラインでつながれる時代ですから、新しくチャレンジしたいことがある人はぜひ田舎でやってみたら?って思いますね。
本山の人が当たり前に思っている良さがすごいあるんですけど、本山の人は気づいていないんですよね。
暮らしたいと思う好きな場所で、やりたいと思う好きなことをして暮らしていけたら幸せだと思うんですよね。
取材を終えて(編集後記)
澤本さんとは、とある会でお目にかかりました。
関わる方に真摯に向き合いながらも自然体で無理のない姿勢と働きぶりに惹かれインタビューを申し込んだところ即快諾していただけました。
法人代表であるご主人様は地域の住宅難課題に取り組み不動産業等もなされ、澤本さんご自身も既存事業以外にも色々なことを勉強したり、新しいことをしたい気持ちもあってとても前向きです。
また高知県に移住してから17年と長いので、地域住民と移住者の両方の立場でそれぞれとコミュニケーションを繋いだりすることも最近は多いとのことです。
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