■最も多い業種は「卸売業・小売業」!
高知県の事業所数は3万5千社余り。事業所数、従業員数ともに最も多いのが「卸売業・小売業」です。事業所数でいうと、次いで「宿泊業・飲食サービス業」が多いですが、従業者は医療・福祉が2番目に多くなっています。
■従業員20名以下の小規模事業者が多い
次に1社あたりの従業者数を見てみます。
全国平均よりも1事業所あたりの従業者が最も多いのは、「農林漁業」「医療・福祉」だけで、あとはどの業種も全国平均より従業者が少ない、つまり小規模な事業所が多いということです。
「医療・福祉」の従業者が多いのは、高知県は人口あたりの病院数が全国トップクラスで、しかも総合病院が多いからです。
事業所数が多かった、卸、小売、飲食サービス等に比べて、製造業など2次産業の1事業者あたりの従業者は多くなっています。つまり、事業所数としては3次産業が多いですが、2次産業の方が1事業者あたりの規模が大きいということになります。
■仕事はある!「有効求人倍率」は全国とほぼ同等!
戦後最長の好景気といわれた平成19年頃、全国的に有効求人倍率が上昇し、失業率が低下していました。これは、自動車などの輸出関連企業を中心とする外需関連企業の好業績によるものでしたが、あいにく当時の高知県企業は外需関連の企業が少なくて、景気は低迷。有効求人倍率はわずか0.5ポイントという状況でした。その結果、高知県は仕事のない県として人口流出が進み、景気も悪くなるという負のスパイラルに陥りました。
この負のスパイラルから脱却を図るべく、平成21年から「産業振興計画」に基づく経済活性化に向けた様々な取り組みが始まりました。海外輸出を含む地産外商が大きく前進し、各分野の生産額は増加。景気の上昇と合わせて、全国に先駆けて進んでいる少子高齢化による生産年齢人口の減少の影響もあり、現在、高知県の有効求人倍率は、全国に追随する形で上昇しています。
特に、このコロナ禍においては、一時落ち込んで1を割ったものの、全国平均より早いタイミングで回復基調に転じています。かつての「働きたくても仕事がない」高知県ではなく、現在は、仕事の数は全国並みにあり、今後もその状況は続きそうです。
■「年収」は下がる可能性
サラリーマンの平均賃金を、東京、大阪、全国平均とで比較してみました。
高知県は全国順位37位。東京と比べると約11万円、大阪では約6.5万円、全国平均からも約4.6万円以上低いです。(厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)
ただし、この全国平均というのは、都道府県ランキングでみると5位~6位の間くらいの数値。つまり40以上の都道府県が「全国平均以下」ということになります。首都圏や関西圏の給与の高いところに人口が集中しているためであり、当然の結果ともす。
都会と地方の給与格差は、現在の地方中小企業の人手不足感と国策による最低賃金の引上げから、徐々に改善されていくと考えていますが、現時点では、高知企業への転職についてご相談いただいた際は、「同業種・同職種への転職の場合、年収は首都圏と比較して大体3割、場合によっては5割程度低くなる可能性があります」と説明をしています。
以前、東京から奥様とお子さん2人を連れてUターンされる方はこうおっしゃっていました。
「年収は200万くらい減ってしまったが、年に数回、家族4人で里帰りしていた費用がかからなくなるし、家賃も東京より安い。東京では家族で出かける先はお金のかかるところが多かったが、高知だとすぐ近くにお金をかけずに楽しめる自然のアクティビティがあり、そしてなにより両親の近くで家族が安心して暮らせるとを考えると、心豊かな生活ができると思います」と。
確かに、収入はもちろん重要ですが、幸せな生活を送るための「必要十分条件」ではありませんよね。
■帰宅時間が早く、趣味や家族時間が持てる
令和4年8月総務省発表の、国民の生活時間配分を調べる「社会生活基本調査」によると、仕事からの帰宅時間が早い県ランキングで、なんと高知県は第2位。最下位の東京都に比べると、1時間20分近く早く自宅に帰っています。夕方6時前に自宅に帰ることができたら、家族そろって食卓を囲むことも、ご夫婦で助け合って家事をこなすこともできますよね。
■共働きが多く、ワークライフバランスが充実
理想とする世帯収入を確保するため”共働き”を選択するご家庭が多いのも特徴です。その分、男性が家事や育児に関わる時間も多く、育児時間でいうと全国平均より30分近く長いようです。
最近では、県内企業でも男性の育休取得推進の動きは活発になっていると聞いています。ワークライフバランスを重視する企業がますます増えていると感じています。
高知で働く魅力とは?
■社長との距離が近い。「やりたいこと」の責任者になれる!
規模の小さい企業のデメリットもあると思いますが、メリットとして挙げられるのはまず、「社長との距離が近い」ことです。
実際、従業員数100名程度の企業だと、採用面接から社長に出会えます。そして、社長が本当によく社員のことを知っています。従業員200名ほどの高知の食品製造業社長とお話しをしていたときに、社長が若手社員の家族状況まで把握していることに驚いたことがあります。そんな距離なので、話す機会も多く、例えば、新しいアイディアや提案を直接社長に提案するチャンスもあり、自分が「やりたいこと」をやれるようになるチャンスも多いということです。
■スペシャリストでもあるゼネラリストになれる!
小規模な企業であればあるほど、限られた専門分野だけしかできない社員は作りません。例えば、経理のスペシャリストが総務、人事に関わるなど、一人の社員が自分の専門分野を持ちながらも、且つ様々な役割を担う機会が、必然的に多くなる。担う役割が多くなるほど、その企業にとってかけがえのない人材になれるということです。 なんだかワクワクしませんか?
■なにより「地元高知」で暮らせる!
これが本当は一番かもしれません。当たり前のことですが、高知の企業で働くことの魅力は高知で暮らせることです。前半でお話ししたように、高知県のサラリーマンは全国で2番目に帰宅時間が早いのです。帰宅時間が早いということは、家事や育児を手伝う時間ができたり、自分の時間が持てたりするということです。そして、高知のこの自然豊かな環境で暮らせるということはとても素敵なことだと思います。
■高知の活性化に貢献できる!
今、高知県は全国に先駆けて少子高齢化、生産年齢の減少が進んでいます。
そんな高知県の企業で働くことで、企業の成長を支えていただけるだけでなく、今どんどん少なくなっている地域コミュニティの担い手にもなっていただくことができます。高知の課題とされる人口減少や高齢化、雇用力低下問題改善にも貢献していただけます。小規模な企業の社員一人一人の役割が大きく、その貢献度が高くなるのと同じく、この高知県だからこそ、一人ひとりの貢献度は高くなると思います。
魅力企業に出会うためにやっておきたいこと
■Uターン転職をしたい理由を自己確認しよう
転職活動に踏み出す前に、なぜ今の会社を辞めて転職したいのか、地元に帰って働きたい理由をじっくり考えてみましょう。
都会からUターン転職する場合は、面接官に高い確率で「なぜ高知に帰って働こうと思ったのですか?」と聞かれます。その際、「地元に帰りたかった」「今の仕事が面白くない」「都会の人間関係に疲れた」という理由では、都会から逃げ帰ったようなマイナスイメージを持たれる可能性があります。
「転職理由」は、必ず面接で聞かれますし、そもそも今抱えている悩みは転職せずとも解決できることかもしれません。Uターン転職の理由・目的を明確に、今までのキャリアや仕事経験、今後どんな仕事で働きたいかを考えた上で、「その機会が今であり、高知(地元)にある」とPRできるよう準備しておきましょう。
■自己分析!今までの経験スキルを整理しよう
地方での仕事といえど、転職活動である以上は経験・スキルが求められます。企業側も即戦力となれる人材を求めて募集をしているわけなので、これまでの経験・スキル、高知でやりたいこと、企業のどんなことに貢献できそうかなどを自己分析し、書き出しておくとよいでしょう。
■就職転職フェアや相談会などのイベントに参加しよう!
都会にいながらでもUターン転職に向けた情報収集は可能です。当センターでも、東京・大阪・名古屋を中心とした都市部エリアで、就職転職フェアや個別相談会などのイベントを定期開催しています。Uターンを考え始めたばかりでまだ具体的でないという方でも、ご家族やお子様連れでも気軽にご参加いただけるイベントになっています。もちろん、ご自宅からのオンライン相談なら随時受け付けています。
移住コンシェルジュがUターン転職の進め方や、ニーズに沿った支援制度、経験スキルやご希望にあった企業などのご紹介をさせていただきます。