移住者インタビュー
【黒潮町】サーフィンに魅せられて、趣味最優先のライフスタイルを手にした前田さん。黒潮町を拠点に好きなコトを追いかけながらナチュラルに暮らす日々。田舎暮らしを始めて得たものは、趣味の充実だけではなかったようです。
前田 英将さん
ライフスタイルを変えたサーフィンとの出会い。
宇宙に心惹かれていた19歳の頃、ロケットの打上げが見たくて種子島を訪れました。種子島はサーフィンのメッカで、カッコよくロングライドするサーファーの姿に憧れたのがサーフィンとの出会いです。毎週末、各地へ足を延ばし、サーフィン熱は高まるばかりだった28歳の頃、もっとサーフィンを楽しもうと転職を考えました。商船大学を卒業後、港湾関係の仕事に従事していたんですが、資格を取得して航海士の道へ。
航海士の仕事は3週間の乗務後、2週間の休暇という勤務体系だったので、休暇を使って日本の島々や海外を飛び回り、サーフトリップ三昧の日々を送ることができました。ただ船上での勤務は思った以上に厳しく、精神的なダメージが重なって最終的には退職を決意するに至りました。その時、自分にとっての「本当に幸せな暮らしとは何か」を見つめ直したんですよね。生きていく上で大切なものが見えてきたというか、遊びも仕事も好きなコトにこだわって無理なく生きていきたいなと。
黒潮町に決めた理由。
スノーサーフィンに興味が出てきた当時、海と雪山、両方のサーフィンを楽しむ「二拠点生活」を送る人と出会ったんです。私もその暮らしを実践しようと決意して、以前からサーフィンで訪れていた黒潮町に移住しました。冬季の数ヶ月はスノーサーフィンのため北海道で過ごすんですが、その間は友人宅に滞在しています。日本各地に有名なサーフスポットは沢山ありますが、ここ黒潮町は、まず人が混み合っていないのが魅力です。あと手つかずの自然が広がるビーチ周辺の環境。とにかく高知は自然のパワーが強い!サーフィン以外ではやはり「食」ですね。味が良いのはもちろん、地元食材のバリエーションの豊富さに驚かされます。
仕事も趣味も。好きなコト・モノで満たされる現在の暮らし。
空き家バンクで見つけた物件に住んで8年目になりますが、当初はDIYで修繕もしましたね。家庭菜園程度ですが畑もやっているんですよ。仕事は色々試しましたが、今は養殖業で使う杉葉収集の仕事がメインです。庭先でサーフボードを磨いていた時に、たまたま声をかけてくれた人が今の雇主です(笑)。あとはプールの監視員、近所にある「集落活動センターかきせ」の宿直の仕事など…決して大きな収入ではないですが、少しでも地域に貢献できたらと思って引き受けています。北海道では雪下ろしの仕事やホタテの養殖業者でも働いています。
「田舎暮らし」が教えてくれたこと。
当初は、ただ理想の暮らしを手に入れる、それしか考えていなくて。元々は干渉されることも好きではなかったんです。けれどここで地域の人たちと関わることで沢山の学びがありました。食材をお裾分けしてくれたり、困った時に手を差し伸べてくれたり…そんな温かさにふれるうちに人のありがたさを痛感しました。北海道滞在中に、業者から分けてもらうホタテをご近所さんに送るんですが、黒潮町に戻ると沢山お礼の品が返ってきます(笑)。助け合いの精神、それに感謝する心といった人として大切なものが「田舎暮らし」にはあると思います。
自分自身が表現者となり、その魅力を多くの人に伝えたい。
実は、移住してから知り合った四万十市在住の友人と新しいことを始めようとしています。河原で簡易サウナを楽しんだり、地元食材を味わったりと田舎暮らし体験ができるスポットの開設を企画しているところです。田舎暮らしを通して実感した「自然と共にある暮らし」の魅力を多くの人に知って欲しいと思っているんです。先人の知恵が学べるような、地域のレジェンドたちとの交流機会も提供したいですね。
移住を検討する皆さんへのメッセージ
まずは一歩踏み出してみることです。人生予定通りにいかないこともありますが、その時はまたやり直せばいいですし、そこで得るものも大きいはずです。私自身の経験から伝えられることもあると思うので、体験スポットの準備が整ったらぜひ遊びに来てください!
編集後記 ~集落活動センターかきせの紹介~
今回、取材場所としてご協力いただいたのは、国道56号線から20分ほど山間に進んだ所にある「集落活動センターかきせ」。海のイメージが強い黒潮町ですが、蛎瀬(かきせ)川のせせらぎと鳥のさえずりが心地よいこの集落では、のどかな山暮らしも叶いそうです。小学校を改修したこの「かきせ」は、主に宿泊施設としてスポーツ合宿の受入れを行っているのですが、この日は「はだしマラソン」で提供する1,500食ものお弁当づくりの真っ最中!それでも作業しながら声をかけてくれたり、コーヒーやおやつのパンを勧めてくれたりと、初対面の私たちを温かく迎えてくれたのが印象的でした。「かきせ」の皆さんにとっては、きっと当たり前のことなのかもしれませんが、前田さんも感じた「人の温かさ」にふれ、心満たされる時間となりました。
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