移住者インタビュー

「未経験から林業の世界に」小さな一歩の積み重ねで実現した四万十町での暮らし

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北海道で生まれ育った塙賢治さんは、子育てをするなら田舎がいいと夫婦で話し合い、高知県への移住を決意。 「面白そう」と、全くの未経験から飛び込んだのは林業の世界でした。 今では山の中で働きながら、自然に寄り添った暮らしを楽しむ塙さん一家。その移住と仕事の軌跡には、地方で暮らすヒントが詰まっています。

北海道で生まれ育った塙賢治(はなわけんじ)さん。高校卒業後、友人の「九州は面白いよ!」の一言がきっかけで長崎の大学へ進学。大学卒業後は東京で6年間、エンジニアリング会社に勤務していました。

「大学時代に探検部という登山系の部活で妻と出会いました。二人とも自然が好きだったので、東京で子育てをするという選択肢はあまり考えていませんでした」

当時、お二人のご両親が四国にいたこともあり、次第に「四国の暮らし」が移住の候補になるようになったといいます。

林業との出会い やったことのない林業を仕事にするために選んだ方法とは?

移住先での仕事を探す中で、塙さんが興味を持ったのが「一次産業」でした。
「やってみたいなと思ったんですよね。一次産業って、手と足を動かして、実践的な仕事じゃないですか。そこに魅力を感じて。漁業や農業も考えたんですけど、林業が一番自分に合う気がしました」

さらに調べていく中で、高知県が林業の盛んな地域であることを知り、「こうちフォレストスクール」の講座に出会います。

「こうちフォレストスクール」とは、林業に関心がある方や就業を考えている方向けに、高知県が主催する無料の体験型研修プログラムです。

▼「こうちフォレストスクール」詳細はこちら
https://www.kochi-forest.com/

「最初は、情報を集めるばかりであまり前に進んでいる感じがしなかったんですけど、『まずは一歩を』と思って受講しました」
講座では、林業の知識だけではなく、移住や就業についての情報、仲間や先輩とのつながりも得られたといいます。そこで出会った林業従事者の方に、「基本から学べて資格も取れる」という高知県林業大学校を紹介してもらい、1年間通うことを決めたそうです。

移住してからの暮らしや仕事のイメージが徐々に具体的になっていった塙さんご一家。

「林業大学校に通っている間に、高知県に住みながら情報も得られやすいし、住みたい場所とか実際に見にいきやすいし、横の繋がりもできるしベストかなと。あと、林業大学校は補助金が出るんですよ。それもすごく助かりましたね。」

住まいは家賃1万円、仕事は偶然の再会から始まった田舎暮らし

2019年3月、塙さんご夫婦は東京から高知県大豊町に移住。移住促進のNPOを通じて見つけた古民家に、家賃1万円で住み始めました。

「林業大学校の合否もまだわからない時期でしたが、先に家を決めました。田舎暮らしも体験してみたく、家賃も1万円で安かったのでそこまで悩まず来ましたね」

林業大学校に通いながら川のガイドとして働いていたという塙さん。きっかけは大学時代の後輩との再会だったといいます。

「大学の探検部の後輩が高知県にいるのを知ってたので久しぶりに『高知に来たぞ!今大豊町だけど、お前高知だったよな?』って連絡したら『大豊町だったら、となり町の本山町にいますよ!』ってたまたま隣町に住んでいて。彼が働いていたアウトドア会社でガイドが不足していると聞き、川のガイドとして働き始めました」

四万十町への移住そして、仕事探し

林業大学校のインターシップを通じて、塙さんが最終的に就職を決めたのが四万十町十和地域にある「とおわ守人企業組合」でした。

「お世話になったインターシップ先全部よかったんですけど、『とおわ守人』は木を切って出すだけではなく、植えて育てる造林までやっていたので、それが自分には魅力的で。すごく悩んだんですけど、最終的にとおわ守人に決めました」

住まい探しと地域とのかかわり

就職は無事決まったものの、十和地域にはなかなか物件がなく、隣町の住宅も検討していたそう。そんな中、偶然、ポンと十和地域に中間管理住宅(移住・定住促進を目的として、町内の空き家を整備し、希望者に賃貸する住宅)の入居者募集が始まり、すぐに申し込みを決断。

「申込書にはびっしりと想いを書きました。ドキドキしながら待っていたら、無事入居が決まって嬉しかったです」

移住後のリアルな暮らし

移住してすぐに始まった林業の仕事は、予想以上に厳しかったと振り返ります。

「体力は自信があるほうだったんですけど、正直毎日へとへとでしたね(笑)」

一方、奥さまの英理加さんも、初めての育児と引っ越しが重なり、大変な日々を過ごしていたといいます。

「私も初めての育児で引っ越ししたばかりで、家もぐちゃぐちゃで、大変でした(汗)」

また、大豊町からの引っ越しでまた一から関係づくりが必要なため、地域へなじめるか不安だったそうですが、近所の方々が温かく迎えてくれ、保育園でのお母さん同士のつながりもできたことで安心して子育てができるようになったと話します。

面白いと思ったらやってみる、自分の気持ちに素直になって

移住してすぐに始まった林業の仕事は、予想以上に厳しかったと振り返ります。
高知県への移住から6年が経った現在は、塙さんご自身で林業の会社を立ち上げ、今までで得た知識と技術を武器に日々静かな山の中で、奮闘しています。

塙さんの小さな一歩を踏み出すエネルギー源にはどこからきているのかお聞きすると・・・

「自分の心に素直に。面白いと思ったらやってみる。流れに身を任せて、無理だと思ったらやらない。」

そんな塙さんの言葉からは、移住という大きな決断も、少しずつの積み重ねと、素直な気持ちから始まったことが伝わってきます。

編集後記

実は、奥さまの英理加さんは元ボクシングのチャンピオンという一面をお持ちで、塙さんもキックボクシングをされているそうです。柔らかな笑顔からは想像できない“格闘家夫婦”というギャップも魅力的でした。
地域との関わりとしては、十和地域の小鳩保育所を活用してボクシング教室を開いたこともあるのだとか。(私もやりたい!!)
また、今後やりたいことを尋ねると、「子どもをカヤックに乗せて、川をこいでみたいですね。だって、すぐ近くに川があるんだもん」と、笑顔で語ってくれました。取材中も終始明るく、穏やかな塙さんご家族でした。

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