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取引先は国内大手食品メーカーなど多数。
技術とノウハウを活かして、新商品開発に取り組む企業をご紹介します。
国内トップクラスの生姜加工会社である「株式会社あさの」。元々は高知県香美市にあった一軒の生姜農家でした。1950年(昭和25年)から、周辺の農家と協力して青果市場に出荷を行うようになったことが現在の礎となり、そこから70年に渡り生姜一筋に歩んできました。
当初は生姜の栽培・出荷を生業としていましたが、1957年頃から徐々に業務の幅を加工へと広げていきます。当時、生姜を加工する際に切り落とした端の部分などは、品質に問題がなくても流通の規格にあわないからと廃棄されていました。それを無駄にせず活用できないかと考案したのが、生姜の塩漬け。商品化したところ、思った以上にお客様からの需要がありました。その後、設備投資や取引先からの技術提供を受けて冷凍おろし生姜の生産も可能に。完成した商品を持って営業活動を行ったところ、大手香辛料メーカーや食品メーカーから注文が舞い込み、主力商品へと育っていきました。
人の手で、一つ一つ加工を施す
生姜は、土の中で複雑な形に育ちます。一つ一つ形が違う生姜には土や石などが挟まっていることがあるため、生姜を処理する製造工場に人の手は欠かせません。何十年にも渡り継承してきた、人の手による異物除去のノウハウは、あさのの誇れる技術でもあります。
工場では、そうした技術を活かしながら毎日25tの生姜を加工しています。これは国内最大クラスの生産量。生姜の青果をはじめ、おろし、刻み、粉末などあらゆる形に加工したものと、紅生姜やガリなど甘酢漬けしたものが生産・出荷されます。また、生姜以外にもニンニク、大根、ニラなども生姜の加工技術を活かして製造。こうした加工品は、私たちが日頃よく口にする大手食品メーカーの様々な商品の原材料として使われているのです。現在では、食品メーカーが原材料として使用する生姜の供給元は、あさのがトップシェアを占めています。
あさので使う生姜は年間8,000t。そのほとんどを、専属契約を結んでいる高知の生姜農家から仕入れています。70軒の契約農家で育てられた生姜は、あさので全て買取ります。品質の良い生姜を安定して育ててもらうために、圃場を巡回して栽培技術指導を行い、栽培ノウハウや肥料、農薬について年3回の学習会なども実施しています。
こうした活動を通して、あさのと農家のつながりはさらに強固なものになりました。津野社長は「ある農家さんからは、『社員の◯◯さんがいるから、あさのと専属契約を結んでいる』と伺ったことがある」と言います。契約農家への惜しみない技術提供から生まれた信頼関係が、より安心、安全で高品質な商品づくりを支えているのです。
生姜は露地栽培で、天候に左右されることが多く生産量を見通すことが難しい作物です。また高齢化や農業人口の減少など、農業そのものを取り巻く環境も年々厳しくなっています。そのため、あさのでは2006年に農業法人「あさひファーム」を設立。生姜の自社栽培に取り組み、天候や苗の病気に悩まされながらも少しずつ収量を伸ばしてきました。それでもまだ需要に応えきれていないのが現状ですが、安定的な供給体制の拡充を目指し、今後さらに作付け面積を増やすとともに、自社農園の働き手を増やす予定です。
「あさのといえば○○」と言ってもらえる看板商品を作る
あさので扱う商品は青果が3割、加工品が7割です。加工品の多くをメーカーの原料として供給しており、黒子の役割を担っています。目下の目標は、「安心・安全・高品質の生姜」という強みを活かして、「あさの」の会社名が入った自社ブランド商品をヒットさせることです。
商品開発をしたいと入社した吉本さんは、「入社当時は開発を行う環境がありませんでしたが、10年経ち、少しずつ自社開発のできる会社に成長してきました。しかし、自社ブランドを立ち上げても営業のノウハウが無く、まだまだ苦労の連続です。売れずに廃盤になった商品は、ヒット商品を必ず生み出すんだと自分を奮い立たせるために机の引き出しに大切にしまっています。」と言います。
現在、あさのでは「あさのと言えば○○」と言ってもらえるような看板商品を作るために、これまでの技術とノウハウを結集して商品開発に取り組んでいます。いつか、自社製品が「あさのブランド」として愛着を持ってもらえるよう、あさののチャレンジは続きます。
左:吉本さん、右:浅野さん
企業名:株式会社あさの
業種:製造業
所在地:香美市土佐山田町旭町1丁目5-25
※この記事は、2023年3月17日時点の情報を掲載しています。
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