移住者インタビュー

【本山町】のびやかに過ごせる環境を求めて 暮らしの中に自然がある子育て

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自然あふれる環境で田舎暮らしがしたい、のびのび子育てがしたい。そんな想いを実行に移し、地域で輝いている方が本山町にいます。今回は、東京からIターンし、地域おこし協力隊を経てフリーランスで環境コンサルタントをしている中田さんにお話を伺いました。

中田 麻祐子さん

  • 出身地:東京都
  • 現住所:本山町
  • 移住年:2016年
  • 職業:樹木医、環境コンサルタント

理想の暮らしをするために選んだ本山町

東京都中野区出身で、移住するまでずっと都内に住んでいました。幼い頃から花壇や公園、実家の庭の草花など身近な自然が好きでしたが、植物が好きだということに、当たり前すぎて気づいていなかったくらい自然は近い存在でしたね。環境問題と植物に興味があったことから農学部に進学、大学院修了後は環境コンサルティング会社に就職し、都心で生き物の調査をしたり、小中学校で環境に関する授業を行ったりしていました。

「移住」を意識し始めたのは子どもが生まれたことがきっかけです。育休中は仕事中心の生活から暮らし中心の生活になりました。もともと田舎暮らしや畑に興味があったことから家の近くで畑を借りてみましたが、やはり生まれてからずっと住んできた東京とは違う環境で暮らしたいと、移住先を探し始めました。何となく東京で子育てするのが窮屈に感じていたことも理由のひとつです。

そして、夫婦ともに自然が好きで夫が林業に興味があったことから、自伐型林業ができる場所を探していたところ、林業が盛んな本山町にたどり着きました。それまでは高知県と全く接点はなく、行ったこともありませんでしたが、東京で開催された高知県主催の起業塾に参加し、実地体験で初めて高知県、そして気になっていた本山町へも足を運びました。

高知県では他の地域にも行ってみましたが、本山町は「ここなら理想の暮らしができそう」と感じて。田舎暮らしがしたい、のびのびと子育てがしたい、林業がしたいという想いがすべて叶えられる場所だと思いました。嶺北地域への移住をサポートしている「NPO法人 れいほく田舎暮らしネットワーク」とつないでもらったことで、林業をしている先輩や子育てをしながら田舎暮らしをしている方などに出会い、さまざまな話を聞いたことで、すんなり移住を決断できました。

地域おこし協力隊を経てフリーランスに

「地域づくり」にも興味があったことから私は地域おこし協力隊に応募し、協力隊として本山町に移住。夫は最終的に現場での林業ではなく、別の形で林業や自然に携わる仕事を選択しました。協力隊としてのミッションは「地域おこし活動」で、自然を活用した観光資源の掘り起こしなどを行っていました。

2人目を妊娠したことで地域おこし協力隊としての活動は結果的に1年間となりましたが、地域の方とのつながりができたことなどが、その後の財産になりましたね。そして、2人目が保育園に入った後、フリーランスとして開業しました。

最初の仕事は「桜の調査」でした。本山町は桜の町と言われているのですが、桜の木は状態が悪く、何とかしたいと思い、大学院時代に樹木医の資格を取っていたことから、それを活かして調査をしたり、桜を観察するイベントなどを開催しました。それを機にいろいろと声を掛けてもらい、アウトドアの講習、大原富枝文学館にある庭の管理計画などに携わりました。

現在の仕事は、本山町が50年後を見据えて策定した森林・林業ビジョン「土佐本山コンパクトフォレスト構想」に関する事業が中心です。その中心的な理念である「なないろの森」(目指す森の姿を大きく7つに分け、多様な森づくりを進める取組)をつくるために、小学校の授業をコーディネートしたり土地の環境を改善する「大地の再生」講座を開催したり、環境教育を行っています。

昔ながらの「宝」が詰まった場所での暮らし

本山町での暮らしは、コンパクトなコミュニティで地域の方との距離が近いところに、居心地の良さを感じています。近所の方が気軽に声をかけてくれたり、集落のカフェや飲み会などもあったりするんですよ。

保育園でも先生との距離が近いので、子育てや子どもの教育のことなど、いろいろな情報交換をしているうちに、密な関係性ができました。それをきっかけに熱意ある先生と教育関連の研修やイベントも行うようになったことは財産ですね。これは東京ではできないことだと思います。

また、本山町には伝統的な生活の知恵や江戸時代から名残りのあるお地蔵さんなど、生活の中に都会では残っていないお宝のようなものがたくさんあることも魅力に感じています。昔の遊び方や薬草の使い方などのお話を年配の方から聞くのも楽しいですね。この文化や知恵を継承していくことが課題だと感じています。

移住者も多いので、移住者同士の交流もあり、楽しいですよ。
本山町での暮らしには満足していますが、あえてデメリットを挙げるとすると、車がないと移動できないことかな。そして、嶺北地方は涼しいと聞いていましたが、東京から移住した身としては、高知の夏はやはり暑いですね。

日々の暮らしの中に当たり前にある自然

現在は小学生2人と保育園児の3人の子どもがいますが、子育てする環境としても本山町は良いと思います。子どもが地域の人々に愛されている実感があり、のびのびと育っていますね。家で焚火をして焼き芋を作ったり薪でお風呂を焚いたり川遊びをしたり、日々の暮らしの中に自然があります。また、四国各地へのアクセスも良いので、よく遊びに行っています。

東京にまた住みたいと今は考えていませんが、ちょっと歩いたらいろいろなものがあったり文化的なものに触れやすかったりするのは東京の良いところ。帰省する機会で時々その空気に触れられることで満足しています。

高知でプレーパークを広げたい

今後は「プレーパーク」イベントを積極的に開催していきたいと思っています。「プレーパーク」とは子どもたちが自由な発想で遊べる場のこと。例えば、焚火をしたり木にロープを巻き付けてブランコを作ったりといった、自然の中でのびのび遊べるところです。

最近は、遊びの中でちょっと危険なことがあれば、ついつい親が早めに止めがちですが、ある程度自由にすると子どもの能力が発揮されると言われています。首都圏では10年ほど前から自治体がプレーパークを行っていますが、高知ではまだまだ普及していないので、この活動を進めていきたいですね。また、自然自体が本来の力を発揮できることにも興味があるため、土壌などの環境改善にも力を入れていきたいと思っています。

新しいことに挑戦しやすい環境

本山町はおおらかで優しい人が多い場所。人とつながりたい方に向いていると思います。そして、良くも悪くも人口が少ないだけに、「1人の存在感」「居てくれる意味」が都会に比べると大きいのではないでしょうか。

どこも人手不足が課題なので、やってくれる人がいるなら応援しようと、初めてのことでも学びながら挑戦しやすい風土を感じます。副業している方も多いため、やりたいことに挑戦しながら、それまでに培ったビジネスの感性やスキルを活かした仕事をしている方も多いですね。

移住を検討されている方は、先輩移住者や地域の人のお話を聞いたり、実際の空気にふれたりすることがとても大事だと思います。ぜひ一度、本山町に足を運んでみてください。




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