移住者インタビュー
ふらりと出かけた、四国旅行。旅の途中で四国カルストの絶景に感動したという藤村さん。 地元の大阪に帰って、ふと目にした「津野町地域おこし協力隊」の募集告知が、人生を大きく変えたといいます。
藤村晃二さん
それは偶然から始まった。
20代半ばくらいまで、大阪で音楽活動をしていました。
WEBデザイナーだったバンドメンバーに刺激を受け、自分もWEBデザインを学び、音楽活動に一区切りをつけた後は、腕時計を扱うネットショップで働いていました。
店舗運営も任せられるようにはなったのですが、なんだか自分に合わない気もしてきて。
そんなある時期、旅に出る機会がありました。行き先は四国。その時、津野町の四国カルストも訪問していたんですよ。
その時は、地域おこし協力隊や移住などは考えていませんでしたが、大阪に帰った後しばらくして、たまたま見つけたのが「津野町地域おこし協力隊」の募集告知でした。
その中に四国カルストの写真もあり、「あ、ここ知ってる」って。
自分の中で、いつか地方で暮らしてみたいという思いと、大阪での仕事に悩みもありましたので、思い切って応募してみました。
応募したミッションは、観光振興の業務です。
元来旅が好きでしたし、写真撮影も好きでしたから、活かせることがあるかもしれないと思いまして。
そして、2014年9月にこの町の地域おこし協力隊に着任しました。
今考えると、その当時の気持ちは、現実逃避だったかもしれないんですよね。
地域おこし協力隊で「これを成し遂げよう!」というプランは、津野町に来たばかりの自分にはなかったと思います。
トゥクトゥクとの出会いが自分を変えた
地域おこし協力隊1年目は、観光の問い合わせ対応やイベントの手伝い、パンフレット発送作業などの業務に明け暮れる日々で。
自分で何かを生み出したわけではなく、あっという間に過ぎてしまいました。
このままじゃ、すぐ任期は終わってしまう・・と焦りました。
そんな日々から自分を変えてくれたきっかけは、協力隊2年目で携わることになった、津野町を含む広域で実施する大型イベントです。
頑張って企画を作ってみようと検討する中でアイディアが浮かんだのが、かつてインドで体験した「トゥクトゥク* 」でした。
*トゥクトゥク・・東南アジアなどでみられる三輪自動車でタクシーなどで利用される
津野町には四万十川の源流点があります。車で登山口に行こうとしても、すれ違いにも苦労するような狭い道を抜けなきゃならない。でもそこを抜けると感動の絶景が待っていまして。
ひょっとしたら、小回りが利き、開放感もある「トゥクトゥク」を使えば、運転しない方にも楽しんでいただけるのではないかと。
そこで、さっそく企画書を作りました。でも、なかなか話が進まなくて。
熱い気持ちを直接町長にプレゼンしたい!とアピールもしたのですが、最初はそれも叶わなかった。
ところがそんなある日、町長の方からこの企画に関心を寄せてくれて、急遽プレゼンする事に。そこから話が動き始めました。
スタートまでには日本のトゥクトゥク販売代理店を探したり、タイまで下見にも行きました。
愛称は津野町のトゥクトゥクなので「ツノトゥク」。
苦労もありましたが、このプログラムは好評でした。
プログラムを一人で企画から実施まで成し遂げたことで、手ごたえを感じました。
早いもので、企画スタートから既に8年経ちました。
今も町から委託を受けて、週に数回ドライバーとしてツノトゥクを運転します。4月~11月の間、様々なコースを計画して観光客の方をご案内しています。
▼高知県津野町観光PRトゥクトゥク「ツノトゥク」
https://tsunotuk.com/
イベント事業として一過性で終わることなく、貴重な町の観光資源として今も頑張ってくれています。計算すると8年で、1万人近くの方に乗っていただいたのではないでしょうか。
ツノトゥクが町にもたらした好影響はたくさんありますが、まずPR効果が抜群です。
企画をスタートさせた当時には高知県内にトゥクトゥクを持っている所がほとんどなかったので、イベントや取材など本当に活躍してくれました。高知市内へもよく出かけましたが走るだけでPRになります。
さらに、地域と観光客のふれあいの場づくりにも一役買っています。
町内を走っていると、地域の方が手を振ってくれたりします。またある日は、茶畑を走るコースの道中、参加者から「津野町のお茶必ず買うね!」と話が盛り上がったり。
ツノトゥクを通じて人がつながり、会話が弾む様子をみると、とても嬉しい気分になります。
こうして振り返ってみると、着任して1年間は何をしていいかわからず、何事にも受け身だったような気がします。
でもツノトゥクの企画成功からいろんなことを学び、受け身だった自分が変わるきっかけになりました。
協力隊から離れても、地域から頼られる存在に
任期終了後のビジョンが明確にあって協力隊になったわけではなかったので、任期終了の半年前まで、退任後の方向性に迷っていました。
でも当時の町職員のみなさんが色々な業務を体験させてくれたおかげで、この町で残ってやっていくイメージが次第に湧くようになり、協力隊を離れてからは、個人事業主として独り立ちすることにしました。
町の観光情報発信を任せていただいたり、グラフィックデザインを活かした地域イベントの印刷物作成など、協力隊時代の経験を存分に活かして、頑張っています。ほかにも観光施設でのアルバイトなど、いわゆるマルチワーカーのような働き方もしています。
案外、私のような人材はこの地域に多くないので、そこがよかったのでしょうか。
おかげさまで次第に地域の方から信頼していただき、人から人を介して、仕事のお声をかけていただけるようになりました。
本当に人に助けてもらってやってきたな、と。困りごとがあると地域の方が助けてくれるんですよ。感謝の一言に尽きます。
できればこれからもこの町で暮らし続けたいですね。
これから取り組みたいと考えていること
AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を生かした観光の情報発信に、取り組みたいと考えてます。
ツノトゥクに乗るお客さんにARゴーグルをつけてもらったり、雨の日でもVRゴーグルをつけて津野町の観光スポットを体験してもらえるようになれば、もっと津野町を楽しんでいただけるのではないかと思います。
津野町のおすすめスポットは?
津野町の観光スポットは熟知しています。中でも私のおすすめは、四国カルストです。日本でもなかなか見られない景色だと思いますね。
標高が高く、平地では暑い季節でもここは少し寒いくらいの日もあり、快適です。そして、7月中頃になれば、「ハンカイソウ」という植物が一面に咲くスポットがあり、ここが本当にきれいなんですよ。
さらには夜、星空が美しいこと。撮影で行くことも多いのですが、心が軽くなります。
津野町で地域おこし協力隊を検討している方へ
地域おこし協力隊に着任すると、任期は3年間。最初から気合を入れ過ぎなくても大丈夫じゃないかな、と思います。
私自身、この町に来たばかりの時には、今の自分をまったく想像していませんでしたから。
津野町での活動を検討する方がいらっしゃいましたら、地域おこし協力隊のOBとして、移住者として、いつでも経験をお話しさせていただきます。お待ちしております。
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