移住者インタビュー

美味しいものは記憶に残る。 野菜を介して、地域の魅力を売っています。

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上堂薗 純高(かみどうぞの よしたか)さん

  • 出身地:兵庫県
  • 現住所:土佐町
  • 移住年:2015年

兵庫県出身。学生起業、会社員を経て2015年土佐町へ移住。農業生産法人(株)れいほく未来へ入社、栽培・営業を担当。2018年から農産物販売団体sanchikara~土佐れいほく~を立ち上げ、れいほく地域の農産物を都市部へ販売開始。土佐さめうら観光協会副理事長を兼務。

高知の人って、おもしろい。

れいほく(嶺北)の人、というか高知県の人は全般、おもしろいですよね。移住を検討していたときから、高知の人達が醸し出す親密さは別格で、ぐんぐん仲良くなれるところが好きでした。

僕自身、関西のあけっぴろげなコミュニケーションに慣れていて、人と話すのが大好き。その僕から見ても、高知の人は圧倒的にオープンだと感じます。僕にはぴったりでした。

夫婦で移住してきて、僕は仕事を通じて知り合いの輪を広げ、妻は妻でつながりを得て、二人でコミュニティを広げていきました。妻のほうが僕より社交的で、あっという間に溶け込みました。高知の男性は割とシャイで、ちょっとずつ心を開く雰囲気だけど、女性はもう最初からオープンで、気さくに言いたいことを言う。仲良くなるまでにかかるコミュニケーション時間がだいぶ短縮されました


2019年に長男が誕生。

野菜を介して、地域を売る。

2015年に関西から移住してきて7年目。すっかり溶け込んで、僕としてはもう「移住者」って感じじゃなくなりました。土佐町の人口は4000人を切っていて、周囲はほぼ知っている人だらけ。その繋がりの濃さが、仕事にも直結しています。

兵庫出身の僕と、同じく土佐町に移住してきた大阪出身の釜付(かまつき)くんを含む三人で、2018 年「sanchikara 土佐れいほく」を立ち上げました。使命は大きく2つあって、野菜を介して地域の魅力を都会に売り込むことと、地方でも農業を続けていけるように農家の所得をあげること。

農家から市場や産直の買取価格よりも高い値段で買い、それに産地の情報をのせて付加価値をつけ、大都市のレストランや小売店に卸しています。現在100~150軒の農家と取り引きして、品数は年間およそ200品目。今では、れいほく産野菜のほとんどの品目を扱えるようになりました。

上堂薗さん3

ひとりじゃできない仕事。

僕も釜付くんも、最初は知り合いなんていません。農業をしている人の輪に分け入って「今よりも高く買います」とセールストークをして回りました。

卸業は、産地の作り手からも、都市部の買い手からも信用されないとなりたたない。野菜が媒介するけれど、結局は人と人との付き合いから生まれる仕事です。

販売や支払いの確実さ、注文した通りに必ず買い取る実績。それらを積み重ねて、小さな町で1年2年と時間をかけて、口コミで広がっていきました。新しく農業を始めた人や、今まであまり付き合いがなかった人も、紹介されてちょっとずつ仕入れ先が増えていきました。人が人を呼んできてくれたんです。

上堂薗さん4

農業する人がもっと増えていくように。

僕たちの商品を買ってくれる顧客は、大きく3つ。
形も味もA級品を求められる「小売店」、形が少し悪くても鮮度と品質が高ければ売れる「飲食店」、少量でも直接買い求めてくれる「個人客」。この3つが販売の柱です。コロナの影響で「飲食店」の柱がかなり苦戦しましたけど。

都市部でこだわった料理をつくるレストランオーナーや小売店には、鮮度の良い産地直送野菜は喜ばれます。JAや仲卸を使うと、どうしても3日程度かかります。僕たちは途中の仲卸を極力減らして素早く届け、そのぶん利益は作り手の農家に還元します。

ただ、僕たちは注文分だけを仕入れるので、全量を買うことはできない。農家にとっては、僕たち以外のJAや産直などの売り先も必要です。

作り手は、売り先を自由に選べたほうがいいです。独占状態はリスクヘッジの意味でもバランスが悪い。作り手が売り先を選べて所得が増えれば、農業をしたい人ももっと増えるかもしれないですよね。

れいほくの野菜は、その価値を感じてくれる店に売りたい。

都市部への売り込みは、まず、僕と釜付くんのホームタウンである関西から始めました。

高く買い付けた品質の良い商品は高く買ってもらいたいので、商品の価値を感じてもらえる客単価の高い高級レストランに売り込むことになります。知り合いを頼って、オーナーシェフ同士のつながりで紹介してもらいながら、じわじわ顧客を増やしていきました。

都市部には、れいほく地域があまり知られていないからこそ、価値を感じてくれる小売店やレストランがあります。誰も知らないストーリーを売ることが、店の魅力に繋がり、来店したお客さんが喜んでくれるわけです。そういったこだわりの店をターゲットにしてヒアリングし、発注者のニーズにできるだけ叶う野菜を10品目~20品目程度、まとめて発送しています。

上堂薗さん5

伝えたいストーリーをのせて、モノを売る。

商品リストには金額だけでなく、伝えたいストーリーも書き込んでいます。毎日顔を合わせているからこそ描ける作り手のキャラクターや畑の様子、四季の話、地名や人名を盛り込んで、野菜ができるまでの背景を書き添えます。基本的には、僕の主観を盛り込んだ情報になり、おのずと自分の言葉で感情をのせた書き方になっていきます。それが僕たちにとって正攻法の売り方です。

例えば都市部のレストランで「れいほく産野菜のスープ」といったメニューがあったら、それは地名を売り込むチャンス。美味しいと思ってもらえれば余計、記憶にも残る。モノと一緒に情報を出すことで、お客さんの中にれいほくの地名が刻まれるんです。

上堂薗さん6

小さな町での買い物は、○○さんから買う、という感じになる。誰が作ったのかの情報を盛り込んでパッケージとして売るようにしています。

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