日々の作業としては、毎日決まった時間にエサを与え、生簀などの施設点検や、魚が健康で美味しく育つための環境維持などがありますが、当然それだけではありません。
これから高く売れるだろう魚と適正数を読み解き、出来るだけ飼料や設備コストをかけず美味しく育てるための研究を重ね、注文に合わせて出荷する。自然や生き物を相手にする分、直感やセンスが求められ、なおかつ製造・流通・経営のすべてをこなせなければなりません。そんな“オールラウンダー”の経営者を目指して、佐々倉さんに弟子入りしませんか!?きっと養殖業の概念が変わります!
3代続く「おさかなクラブ」では、海老の養殖や魚の人工ふ化、食品加工、流通改革、海外貿易、大学研究員との共同研究・開発など…、養殖と関わる新規事業は全部やってきたという自負があります。それらを行うための機材設備はもちろん、技術、ノウハウ、人脈、信頼のすべてが、ここに蓄積されています。「地域と地域住民と共に成功する企業でありたい」と願う佐々倉さんの志しに共感し、これらの資源を活かしてくれる方に出会いたいと願っています。
ロープの結び方はなぜこうでないといけないのか、網の作りはピタゴラスの定理から。養殖技術に留まらない幅広い知識と経験を惜しみなく提供して下さる佐々倉さんだから、かつての教え子はみな優秀な管理者となって独立されたそうです。佐々倉さんと共に、地域の産業を守り、さらなる可能性を求めて事業拡大を目指してくれるパートナーを求めています!
代表の 佐々倉 與夫さん へのインタビュー
— この港の特徴を教えてください。
ここは港がえい。水深が30メートルもあって、西向きで、周りは山で囲われ、台風や赤潮の被害もない。意外と日本でもここまで水深がある港は少ない。水温も最低16℃(高い時は30℃越え)だから、ものすごく希少価値がある港なんです。
— 漁港って思ってたより静かですね(笑)
昔は、27~28の事業体がここで盛んに養殖をやっていましたが、今では地元の養殖事業者は私一人です。大月町全体でみても柏島にもう1社あるだけで、あとはみんな県外。
— ぇえっ!?この生簀を全部ひとりで!?
はい。日々の仕事としては、朝餌をあげて状態をチェックしたら終わりなので(笑)。
出荷作業があるときだけ、仲間を集めて作業をしてもらいます。最近はバイトしてくれる人を見つけるのも大変なので、奥さんにも手伝ってもらいます。船を操縦したり、魚を数えたり、クレーンのオペレータをしたり。
— 誰でもできるものですか?
うちの奥さんが手伝えるくらいの作業もありますが、体力もいるし、センスも試されるので、2~3年続けられる強い意志があるかどうかですよね(笑)。養殖をやりたい個人の方なら、まずは修行として作業を手伝ってもらいながら、必要な知識やノウハウをゼロから教えますよ。
それとは別に、スポンサー企業も必要です。養殖は出荷できるようになるまで、運転資金がいります。
一緒にやれる仲間さえ集まれば、ある程度なんでもできるくらいの設備やノウハウはあります。
— 今は何を育ててるんですか?
今はイサギ、真鯛、シマアジ。生簀1枠に10,000匹くらい。一人で全14枠を世話してます。
この生簀を最初から準備しようと思ったら1枠500万(中身を含め)はします。そこにある大量の網だけでも数億円分はある。手直しすれば全部使えるので本当にもったいないんです。
— これから養殖業がチャンス?
日本で養殖業が始まって以来、作れば売れる景気のいい時期もあって、生産者も右肩上がりに増えました。ところがある時を境に消費量が減少し、魚価は低迷。昨年は飼料の急騰もあって、生産者が急激に減りました。ですが、養殖業は必要ですし、生産者が減ってしまった今だからこそ、逆に希少価値は出てくるように思います。
— 生産すればするほど売れるということ?
これからはそうなっていきますね。魚が必要な買い手と生産者が交渉の上で、生産コスト、生産数、販売価格が確定される。この物流が守られることにより、双方にとって安定したビジネスが保たれるんです。かつてのように毎回安い生産者を探して仕入れていた買い手は、必要数が確保できなくなり減っていくと思います。今は生産者が生産量を増やそうにも“人が足らない”という状況。ウチではやる気があれば、魚の人工ふ化からでもできますよ。
— 年間売上はどのくらい?
1人当たり3,000万(年間)を売上げれば利益にはなるけど、それだとリスクが大きいばかりで面白くない。なので僕は、3人で1億、5人で3億、10人で5億、20人で10億を目指していました。
最高で20人で6億を売上げましたが、そのくらいの規模になると年がら年中、日本中から仕入れをしていないといけなかった。毎日大量に出荷するので、種苗が高いとかなんて問題じゃなく、中間業者からでもなんでも、とにかく買って安定出荷を維持しなければいけなかったです。毎朝運送トラックが十数台、前で待っていましたからね。
— どんな方に来てほしいです?
養殖業を学ぶにしても、共同事業者として新規事業の展開を目指すにしても、全員が“経営者”として取り組まなければ、成功は難しいと思っています。経営能力やセンスがある方なら、あっという間にここを大きくすることはできますよ。
この町の大切な産業としてここを残していきたいので、手を挙げて頂ける方があれば、何をやりたいかを伺いながら、一緒に取り組んでいきたいと思っています。
まあ、難しいことはさておき、海や生き物が好きで、自然の中で水産研究や事業をすることを楽しめる方に来てほしいですね(笑)。