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薄くて丈夫な土佐和紙の製造技術を活かして、商品づくりに取り組む三昭紙業をご紹介します
三昭紙業は、1967年に創業した紙の加工会社です。ポケットティッシュを主力商品として製造を開始し、現在では、ウェットティッシュや化粧品、医薬部外品、介護用品、キッチン用品などの商品開発・製造を行なっています。特に化粧品や飲食業界で高い評価を得ている三昭紙業の商品。その強みは、製品を「不織布」から提案できることです。
グループ会社に三和製紙があり、そこで土佐和紙の伝統技術を受け継いだ「機能紙」や不織布の製造を行なっています。そのため、繊維の特徴や組み合わせを考えた「新しい不織布」を一から開発することが可能です。三和製紙の技術力と三昭紙業が持つ商品開発力や製造力が合わさり、お客様のニーズを捉えた商品提案ができています。
紙づくりは楮(こうぞ)づくりから
三昭紙業のある土佐市は、「仁淀ブルー」で知られる仁淀川の下流域にあたります。仁淀川流域は、古くから土佐和紙の生産が盛んで、紙の原材料となる楮(こうぞ)の生産も行われてきました。しかし、生産者の高齢化とともに生産量は激減し、産業としても衰退して行っています。現在では、国産の楮は入手困難で、海外から輸入した楮に頼らざるを得ない状況となっています。こうした状況に対して、和紙の産地としての伝統を守らなければと立ち上がったのが、三昭紙業の森澤会長です。
2006年に農業法人「クリーンアグリ」を立ち上げ、楮の生産を開始します。栽培方法にもこだわり、より収量を上げる方法を自社で開発。60a(約6000㎡)の畑で、年間1tの楮を収穫しています。生産された楮は、三昭紙業で作られる不織布の中に配合し、世界初となる「楮配合不織布」の開発へと繋がりました。楮配合不織布は、化粧品や食品用包材など、様々な商品に使用されています。
三昭紙業が得意としている商品の一つが、フェイスマスクです。取引先には大手化粧品メーカーのお客様も多く、お客様から「我々が開発した新しい美容液に合うフェイスマスクが欲しい」と言った相談が寄せられます。そこから、新商品の特性を活かす、最適な不織布探しが始まります。肌に優しく、密着感のあるフェイスマスクを求めて、繊維の配合を調整したり、紙の層(構造)を見直したり、時には新しい繊維を求めて繊維メーカーを開拓することも。営業だけでなく、品質管理スタッフや製造スタッフとも協力しながら試行錯誤を重ね、商品開発を行なっていきます。 そのため、商品化に至るまで長い時には3年を要することも。こうしたプロセスを経て、商品がやっと完成します。苦労して作り上げた製品が、お客様から評価いただけた時の達成感はなにものにも変え難い喜びです。
紙のプロフェッショナルとして、不織布の可能性をさらに広げる
お客様に喜んでいただけるのは、想像を超えた「一歩先をいく提案」です。その提案を行うためには、日々の情報収集と新しいものを生み出していこうとするチャレンジ精神が必要です。営業・品質管理・製造という3つの分野で社員一人一人が紙のプロフェッショナルとして強みを活かし、互いに巻き込み合いながら、学び合うことで、お客様に還元していける仕組みができています。
大きく変化する市場の中で、今、紙製品の価値が見直されています。これまで、機能性のある不織布づくりを続けてきた三昭紙業。取締役の佐々木さんは「グループ企業とともに培ってきた技術と知識を結集して、さらなる不織布の可能性にチャレンジしていきたい」と言います。不織布のプロフェッショナル三昭紙業は、土佐和紙から続く地域に根ざした産業であるという誇りを胸に、これからもより良い紙製品を生み出そうと探究し続けています。
企業名:三昭紙業
業種: 製造業
所在地:高知県土佐市北地2424-7
取締役 品質保証製造統括 佐々木丈明さん
※この記事は、2023年3月17日時点の情報を掲載しております。
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