移住者インタビュー
祖母の家にIターンし、地域内外のさまざまな人とつながりながら「森のがっこう」復活の夢の実現に取り組む山本倫さん。大阪府から移住してコーヒー屋を営む夫の崇史さんとともに、夫妻でタッグを組んで大人も子どもも癒される場を創っています。
山本 崇史さん
倫さん
不思議なタイミングでゲストハウスをすることに
倫さん(以下:倫)
実家は高知市ですが、黒潮町には今は私たちが住んでいる祖母の家があって、子どもの頃によく遊びに来ていた、大好きな場所でした。父の勧めで小学2年生から6年生まで、週末ごとに黒潮町佐賀にある「ヘンゼの森 山の分校」に通い、自然の中で過ごした時間が原体験として残っています。
大学進学で高知から山梨へ出て、そのまま山梨で環境教育や子どもたちの自然体験、パーマカルチャーなどの活動をするNPOに就職しました。やりたいことはできていたけれど、人間関係で自分の課題に直面して苦しくなり、一旦リセットし高知に帰ることにしたんです。父から地域おこし協力隊の募集があることを聞き、自然が大好きだったので高知市に帰るよりも佐川町の協力隊になることを選びました。佐川町で活動した後、1年ほどタイにボランティアに行って色んな経験をした後に、黒潮町にやってきました。
崇史さん(以下:崇)
私は東京で働いたこともあるんですが、15年前に大阪に戻ってコーヒーの修行をはじめました。いざ独立を考えた時に、珈琲屋がたくさんある都会で店を出す勇気がなくて、田舎でやってみたいな、と移住を考えはじめたんです。
移住フェアの高知県ブースにふと立ち寄ったら、本山町の担当の方が「本山町から出たいと思ったことは一度もありません」と言い切っていて、そこまで言うほどの地域を見てみたいな、と思ってお試しツアーに参加したのがきっかけで、最初に本山町へ移住しました。
倫:ゲストハウスを営むことになったのは、ちょうどタイから帰ってきたタイミングで、県外に住んでいる叔母から「本当は私がやりたいんだけど、時間もないし歳やし、倫がおばあちゃんちで民宿やったら?」と声をかけてもらったから。
夫が本山町から黒潮町に来ることになったのは、彼がお手伝いしたイベントでたまたま私と出会ったからです。私が黒潮町のおばあちゃんちでゲストハウスをする話を彼が聞いて、その準備を手伝う中で仲良くなって結婚して、今一緒に住んでいる、という流れです。いつかはゲストハウスを開いてみたいと思っていましたが、叔母に言われたことで、ああ、やってみてもいいんだなぁって思って、自然とそういう流れになりました。
「ゲストハウスまぁる」は特に宣伝はしないで、私たちが受け入れできる時だけ、ぼちぼちとやっています。
黒潮町に帰ってきて良かった!と心から思う
崇:黒潮町は暮らしやすいです。何より自然が素晴らしい。観光地なので常に人の出入りがあってきゅうくつさをまったく感じないですし、常に新しい風が吹いています。
海外から移住された方も多いですし、明るい雰囲気ですね。
倫:移住したというよりも黒潮町に帰ってきた、という感覚です。私の祖母が地元でとても愛されていたので、どこに行っても「あいこおばあちゃんの孫です」と言えば、本当にみなさんがよくしてくれて、よそ者だと警戒されることはまったくありませんでした。祖母が信頼されていた証ですね。
民宿に来ようとして迷子になっているお客様を近所の人が案内してくれたり、買い物に連れて行ってくれたり、良い意味でお節介な方がたくさんいます。
崇:実は私たちは一度、黒潮町を出て津野町の宿で働いていたことがあるのですが、また帰ってきてるんです。
以前黒潮町にいた時には宿を2軒やっていたこともあり、意識が完全に外を向いていました。そのせいで、経営していたコーヒー屋の近くにあったお店に対して、適切ではない対応をしてしまったことがありました。
私たちはその後、黒潮町を出てしまいましたが、帰ってきてまたそのお店の近くでコーヒー屋をさせてもらうことになった時、改めてご挨拶に伺うと、「がんばりやぁ」と言ってくださって、期待を裏切ってしまったのは私たちの方だったのにと、ありがたく思いました。
この町に帰ってきて本当に良かったと思っています。黒潮町の良さを改めて感じて、人とのつながりをしっかりつくって。今はちゃんとこの地に根をはろうという意識が芽生えています。
「森のがっこう」が復活したあとも続いていく未来
倫:「ヘンゼの森 山の分校」だった場所は今は使われていませんが、おんちゃん(おじさん)たちがいつもきれいに手入れをしてくれているんです。
「ヘンゼの森」の由来は土佐弁の「変ぜよ」から来ているそうです。地元のおんちゃんたちが、「今の世の中は変ぜよ。子どもたちがのびのびと自然と触れ合って、人間本来の生き方を体験できる場所を作ろう」という想いで作った学校です。
私自身も子どもの頃、ただただ自然に癒されながら本来の自分を取り戻していました。
おんちゃんたちの想いをあの頃の私は知りませんでしたが、大人になってから知り、学校を復活させて未来に残したいと思うようになりました。
2023年9月16日に森のがっこうのイベントを企画していますが、一人ではできないので周りの人とつながりながら準備しています。
崇:私のコーヒーもイベントで飲んでもらえたら、と思っています。
「一期一会」のコーヒーを極めたくて、たとえば森のがっこうでこの時にしか飲めない、そんなコーヒーがあると思っています。素晴らしい黒潮町の自然が一瞬一瞬で変わるように、その体験は一度きりです。
私のコーヒーの原体験は、おばあちゃんが淹れてくれたコーヒーでした。小学生の頃でしたが、とても美味しかったことを覚えています。
東京で忙しく働いていた頃には、出勤前に立ち寄っていたコーヒー屋さんでコーヒーを飲むその一時にとても癒されていました。
私がコーヒーを通してお届けしたいものの1つが「癒し」です。
もう1つは「人と人とのつながり」。「チッタム珈琲」にきてくれるお客様同士や、業者さんも含めて素敵な人と人とのつながりが生まれるとうれしいです。なので、来てくださる方との会話をとても大切にしています。
ご縁を大事にする移住
倫:私の考えですが、移住する時は「こうしたいな」と自分の頭で考えたり思ったりしていることの枠の外に、ご縁があるかもしれません。私たちも、夫の実家がある九州を移住先にと考えたこともあるんですが、なぜか縁がなくて、結果的に移住しなかったんです。実際に導かれる場所は自分の考えているところと違ってても、ご縁のある場所ととらえて住んでみるのもいいかもしれませんよ。
崇:当たり前のことですが、余計な力を抜いて、挨拶をしたり地域の人と関わったり、目の前のことをきちんとすると、ご縁のある場所が巡ってくるんじゃないかな、と思います。
コーヒー店のホームページはこちら
▼自家焙煎珈琲「チッタム珈琲」HP
https://chittumcoffee.stores.jp/
倫さんの音楽活動アカウントはこちら
▼「まぁるい世界の音の表現者 michi」Instagram
https://www.instagram.com/uta.michi/
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