移住者インタビュー
村の豊かな森林を守るために、知識・技術習得に励んでいます
岩坪 拓雄さん
本気で移住に取り組んだから「失敗」は無し!
たまたま旅行で高知を訪れたのをきっかけに移住を決めてから、息子の高校入学と入寮を待って単身で三原村に来るまで3年ありました。その間に、移住相談会やこうちフォレストスクール(※1)などの林業体験に参加したり、収入の足しにしようと狩猟免許をとったり、あれこれ準備してきました。
(※1)高知県の実施する林業の仕事を知り、直接林業で働く先輩と交流できる体験プログラム
まだ地域おこし協力隊に着任して3か月ですが、森での仕事中は身の危険を感じての冷や汗はしょっちゅうです。元々会社員なので山のことはアウトドア程度の知識しかないし、チェーンソーも刈払機も持ったことはなくて。思わぬ方向に木が倒れてくるなど、ヒヤリハットは毎日です。ですが、ここでの生活も仕事も「こういうものだ」と覚悟して来ているからか、「失敗した」と思うことはないんですよ。
村には予め2回足を運んで、安全管理や労災、怪我した時の保障なども含めて森林組合長に直接うかがって……普通はつっこみづらい話かもしれませんが、かえって“本気”が伝わったのかなとも思います。新しい人が入ってもなかなか定着しづらいみたいで。ましてや40歳超えたおっさんが、未経験で林業を始めたいなんて普通に考えたら使いにくいのに、よく受け入れてくれたなと思います。そこは自分でも自覚してるので、早く使い物になれるよう頑張ってます。
林業の仕事は、体力的にかなりキツイです。徐々に慣れてきた感覚はありますけど、道具だけでなく、体の使い方、力の入れどころ・抜きどころも知らなかったわけなので。山にしたって、道なき道なきを進むこともありますから。ただ、だからといって「しんどい!」だけということはないんですよね。どれだけ体が疲れても仕事時間にメリハリがあるし、刈った分だけ結果が見えるのはやりがいです。
自分の時間も、地域の方と関わる時間も大事
村にはコンビニも大きなスーパーもないですけど、魚も野菜も安くて新鮮なものが揃うし、元々料理が好きなので、旬の食材で料理するのが趣味になっていますね。この間は、サンノジ(ニザダイ)という魚が大きいのにえらい安かったので、試しに買ってみて刺身にしたらめちゃくちゃ美味かったです。
それとなんといってもビリ鰹(※2)ですね、今まで食べてた鰹とは別次元の旨さで。これはここでしか食べれないですね。ちなみに三原村はどぶろくが有名ですが、村の柚子を使った調味料「ゆずからりん」(※3)に汲み豆腐や刺身こんにゃくと、酒のアテも揃ってますから。誰にも邪魔されず、ひとりでしっぽりやる時間が好きなんですよ……。
(※2)水揚げされたばかりで死後硬直前の鰹
(※3)青ゆずの皮と赤唐辛子、塩を使った赤い柚子胡椒。
「酒は呑めるか?」と移住前に聞かれたんですけど(笑)、コロナ禍で祭りやイベントは軒並み中止ですね。地域の方との関わりを持つ機会が少なくて残念に感じていたところ、移住相談員の方から消防団に入らないかとお声がけがあったので、良いチャンスだと思って入りました。普段からも、野菜や苗のおすそ分けをいただいたり、森林組合の方に猟の獲物の解体に必要な道具を作っていただいたりと、皆さんに良くしてもらっています。
移住や地域おこし協力隊に興味がある方へのメッセージ
移住生活にはもちろん厳しいこともあるので、あまりハードルを下げたいわけではないんですけど、自分としては、これがチャレンジとはとらえてません。
しんどかろうが何だろうが、本当にやりたいことなら、楽しくやれば楽しくなるんじゃないですか?迷っているならやめといたほうがいいと思いますし、環境を変えたいのならお勧めします。「やってみよ!」という気持ちがあれば、自分のように林業の経験がなくても、受け入れ先がOKと言ってくれるのなら、あとは本人次第です。「思ってたんと違う!」となるかどうかも本人次第でしょうけどね。
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