移住者インタビュー
高知県と愛媛県の県境に広がる、日本三大カルストのひとつ「四国カルスト」。雲を見下ろすほど標高の高い場所にあり、開放感あふれる絶景が楽しめます。 この「四国カルスト」に魅せられ、移住した嶋さんが営んでいるのが『自家製スモーク工房CaCooo〈カコ)』。高知県で唯一の燻製おつまみ専門店として、津野町でしか出せない味わいを届けています。
嶋 祐也さん
偶然出会った四国カルストに惹かれて
出身は千葉県佐倉市です。文具メーカーで営業の仕事をしていて、転勤で名古屋に赴任し、そこでキャンプにハマりまして。子どもの頃に親にキャンプに連れて行ってもらっていたので、もともとアウトドアは好きでしたが、道具を揃えて本格的に楽しむようになりました。
そして、初めて燻製づくりに挑戦したのですが、そのおいしさに感動し、夢中になって。最初は、チーズと煮卵の燻製を作りました。
そんな時、今後の生き方を考える中で、得意な燻製づくりを活かして自分で事業をしようと決意。キャンプも好きなので、山の中で暮らしてみたいと移住先を探していたところ、偶然Instagramで四国カルストの写真を見ました。
標高が高い山に石がゴロゴロ転がっていて、そこを牛が歩いている光景が、なんだか日本じゃない感じで。「こんなところがあるんだ!」と心奪われました。
それと同じタイミングで地域おこし協力隊の制度を知り、募集情報を調べていたら、四国カルストのまちである津野町で募集していて。直感で「ここに行こう」と応募しました。
それまで高知県には一度も来たことがありませんでしたが、とにかくワクワクして、移住することに不安はありませんでしたね。
地域おこし協力隊の面接で初めて来た高知は「自然が近い」という印象。川も海も山も近く、自然をフルセットで楽しめる場所だと感じました。
当時付き合っていた妻もちょうど転職を検討していた時期だったので、一緒に移住し、高知で籍を入れました。
イベント出店から始めたスモークナッツづくり
「地域おこし協力隊」としてのミッションは観光でした。町内を回って観光資源や店舗などのデータベースを作ったり、個人的にSNSで津野町の観光に関する情報発信をしたりしていました。
写真が好きなので、津野町のさまざまな場所を撮影してSNSに投稿していたらフォロワーも増え、それを見て観光に訪れてくれる人もいて。その経験は大きかったですね。
移住したのは5月でしたが、その年の10月にあった町内のイベントで商品を出さないかという話があり、8月頃からスモークナッツ作りを始めました。
そして、イベントで初めて出品し、その後は町内の道の駅などに商品を置かせてもらい、口コミで広がっていったという感じです。
地域おこし協力隊の2年目後半ぐらいに、これを仕事にして生活していけそうだという目途が立ち、お店づくりを始めました。
クラウドファンディングで集めた資金と地域おこし協力隊で交付される起業支援補助金、自分の貯金を使い、3年間の協力隊任期満了後に開業。内装はDIYするなどコストを抑えましたが、資金繰りは正直大変でした。
ちなみにお店の屋号『自家製スモーク工房CaCooo』は、四国カルストの石灰岩の主成分である炭酸カルシウムの化学式「CaCO₃」に由来しています。カルストに惚れて移住したので、それにちなんだ名前が良いな、と思いまして。
津野町だからこそできるこだわりの味
うちの商品は“香り”を大切にしています。個人的な感覚ですが、津野町は空気が澄んでいるので、香りをより感じやすくなる気がしていて。ちょっとした違いを大事にして燻製づくりをしています。
商品は卸売りとオンラインの両方で展開していて、取引先は現在30~40店舗。高知県内の道の駅やスーパー、飲食店などが中心ですが、東京や香川、愛媛などのセレクトショップやバーなどでも商品を置いてもらっています。
津野町でビジネスをしていて、消費者が遠くにいることのデメリットはほとんど感じていません。口コミやSNS(公式Instagram)などで取引先が広がっているので、自分から営業したことは実はほとんどないんです。
そして、やはり自分が作った商品をお客さんに喜んでもらえるのはうれしいですね。一度食べると他は食べられないと、リピーターになってくださる方も多いです。
しかし、利益とお客さんの満足度とのバランスを取るのは難しいですね。基本的にはあまりニーズに寄りすぎることなく、自分が面白いと思うものを作っていますが、そこからぶれないようにするのが大変な面もあります。
日々の暮らしの中で当たり前に楽しめる自然
山に住みたい、こういうところに住みたいと思っていたので、移住後にギャップを感じたことはありません。今年も四国カルストに登って初日の出を見ました。
暮らしの中で自然を楽しめることに満足しています。そういえば、毎日が自然の中なので、移住してからキャンプをすることが減ったかも。今は仕事が忙しく、休みもなくずっと働いていますが、仕事が楽しいですね。
津野町は、山と川に囲まれた豊かな自然環境、人が良いところが魅力です。フレンドリーで、移住者を歓迎してくれる雰囲気があります。
買い物などは不便な場合もありますが、月に何回か高知市内に商品の納品に行く際に大きなスーパーに寄って帰るので、大きな問題はないです。
子どもはもうすぐ3歳ですが、待機児童の問題などもなく、子育てをする上でも困ったこともありません。
ここを拠点に全国展開していきたい
今後は、商品の種類を増やして全国展開していきたいと考えています。お客さんからの感想を聞いていると、香りだけでなく食感が他のスモークナッツと全然違う、サクサクしていていておいしいと言っていただけることが多いのですが、その理由は小規模な工房だから。
他の大きなお店と違い、少量を短時間で仕上げることで食感の違いが出ているのですが、この味は他にないと自負しています。
基本的には何でも燻製になります。今後は調味料にも挑戦しようと商品開発を進めているところです。
お客さんからもよく聞かれるのですが、「山奥でどうやって生活してるんだろう?」というのは夢がありますよね。自分たちの生活がモデルになって、こういう風に生活ができるということを発信していきたいです。
新しいキャリアを築きたい人が輝ける場所
津野町は、自然が好きで、自分で事業を始めたい方、新しいキャリアを築きたい方におすすめです。僕自身も地元の方にサポートしてもらいながら開業しましたが、周囲に相談しやすく、助けてくれる人が多い環境だと思います。
しかし、移住してきて何をしようかな、誰か助けてくれないかな、では難しいもの。主体的に動くことが大切です。
津野町には四国カルストや四万十川の源流、歴史的なものもあり、観光客も多く、ビジネスチャンスがあります。観光のオフシーズンも、アイデア次第で他と違うことができると思います。
移住するかどうか悩んでいる方は、一度来て、地元の方と話してみるのも決め手になるのではないでしょうか。「あの人にまた会いに行こう」、そんな気持ちで津野町に来てください。
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