移住者インタビュー
心と身体を養生する「漢方」を日々の生活に自然に取り入れられる場所が、高知市桜井町にあります。それが、2021年に開局した『金子漢方薬局』。おしゃれなカフェのような空間で、じっくりカウンセリングを行い、体調やお悩みに合わせた漢方を選定しています。 東京からのIターン・Uターンを経て夫婦でスタートした漢方薬局、ここには、高知だからこそ実現できる生き方がありました。
金子 彰さん/絵里子さん
“体に良い環境”で働くために移住を決断
彰さん ―
妻とは、東京にある同じ漢方専門店で働いていたことがきっかけで結婚。妻と出会うまで高知は訪れたことがなかったのですが、結婚して年に2回ほど高知に帰省するたびに暮らしやすい場所だと感じ、移住したい気持ちが高まっていきましたね。
高知市はそこまで田舎ではなくほどほど便利、でも自然は近いという、バランスがとれているところが魅力です。東洋医学では、夜になっても煌々と蛍光灯がついているところで働くのは神経を高ぶらせ、健康に良くないとされています。
まさにその環境である東京より、高知の方が良い環境で働けるという思いがありました。
移住したい気持ちは、私の方が強かったですね。
絵里子さん ―
私は高知市出身で、20代の頃は高知で働いていました。東洋医学にはもともと興味があったのですが、高知県立牧野植物園で開催されていた「漢方展」を訪れたことをきっかけに、漢方の勉強をしようと決意。上京して、漢方の会社が運営しているスクールに通いながら、そこで働き始めました。
東京での暮らしは充実していて、仕事もキャリアを重ねて夫婦ともに管理職、なかなか移住するという踏ん切りがつきませんでしたね。
しかし、都会で消耗しているという実感はあり、夫婦で薬局を開くというビジョンが見えてきたので、高知に帰る決断をしました。
高知ならではの人とのつながりが開業を後押し
絵里子さん ―
高知へ移住後は薬局を開業するというビジョンはありましたが、ゆっくり準備を進めるつもりでした。しかし、ワークショップを開いたり無料のカウンセリングを行ったりする中で「早く開局してほしい」というお客様からのお声をたくさんいただき…。想像以上に高知には漢方のニーズがありました。
開業に向けて、物件や設計事務所などは周囲の人の紹介でどんどん決まっていきましたね。私たちはカフェなどが好きで、高知に移住後にいろいろなお店に通っていたら、自然と人脈が広がっていて。その中で、商工会でさまざまなサポートを受けられることを知り、補助金申請のアドバイスをもらうなど、活用しました。
これは、「ザ・高知」ですよね。高知は人とのつながりが強いので、いろいろな方の助けで出来上がっていきました。実は、お店の什器もお客様などからのもらいものなんですよ。
そして、私は高知出身なので昔からの友達も高知にいますが、Uターン後にできた友達のほうが多くなっているかもしれません。
彰さん ―
開業までは比較的スムーズでしたが、私の場合、移住するにあたり家族の反対が一番大変だったかもしれません。祖父や叔父も同じく代々薬剤師をしている家系で、遠い地に移住するというのは猛反対。何とか説得しました。しかし、一番反対していた祖母も、今では高知をすごく気に入ってくれています。
心に余裕のある暮らしを実現
絵里子さん ―
東京では忙しくしていましたが、今は、夫と日々を楽しんでいます。もともと好きだったけれど年に数回くらいしか着ていなかった着物を日常的に着るようになり、茶道を習ったり、自分で着物のイベントも立ち上げたり、どんどん広がっていますね。
仕事もそうですが、やりたいことをやり続けたら、お客さんのニーズも満たせる形になってきています。すべてがプラスになっているように感じます。
彰さん ―
東京での会社員時代の方が、休みの日数は多かったかもしれませんが、時間の余裕ができたと感じています。茶道だけでなく、実はお能も習ってるんですよ。
都会は半年に一度くらいで十分
絵里子さん ―
東京ももちろん好きですが、高知からは大阪が近いので、都会に行きたい気分の時は車ですぐに行けます。それが半年に1回程度あれば十分です。
東京はキャリアアップできるチャンスがありますが、人も多いので、自分でなくてもいいんじゃないかという気持ちになりがち。高知は目的意識がある人が活躍できる場が、もっとあるのではないでしょうか。
そして、高知と東京ではお金の使い方が違います。高知では収入は減っても出ていくお金が少ないので、可処分所得が多くなったように感じています。
彰さん ―
帰省などのタイミングでたまに東京に行くと楽しいですが、働いてずっと住む生活に戻りたいとは思いません。ただ、高知にいると時代の最先端の流れがキャッチしにくい部分はあります。もちろん、情報として知っているけれど、その中心にいて体感するのとは違うもの。そういった視点で、時々訪れる時間は必要かもしれませんね。
自分がやりたいことは口に出すことが大切
彰さん ―
漢方薬局としての事業は軌道に乗っています。今後は、高知県内の方だけでなく、県外の方、海外の方も高知に来て元気になってほしいというのが大きなビジョンのひとつです。
絵里子さん ―
開局して4年ですが、今、描いているビジョンのまだ10分の1というところです。高知は心身ともに回復するのに最高の県だと思っています。私たち自身も、東京で疲れてたまに帰省した時に高知で癒されました。
漢方とは、漢方薬を飲むことだけでなく、自分で体を立て直すこと。漢方を通して高知を活性化したいという想いがあります。
そのために、やりたいことを口に出すことは大切です。夢としては、漢方薬局に留まらず、たとえばお茶室やヨガができるスペースを併設したり、薬膳料理を提供するお店があったりなど複合的な場を作りたい。そんな構想を積極的に口に出すようにしていたら、いつか何かに繋がるかもしれないな、と考えています。
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