移住者インタビュー

ご縁とタイミングがぴったりはまり、念願だった山地放牧で独立することができました

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山地放牧の畜産農家として2017年に独立しました

松本 拓也さん

  • 出身地:高知市
  • 現住所:室戸市
  • 移住年:2014年
  • 職業:畜産農家

放牧で畜産をしたくて研修制度で室戸市へ

私は高知市の出身ですが、大学卒業後に就職した会社で沖縄県の那覇に配属となりました。そこで会社員をしていた頃に「山地放牧で和牛の繁殖農家をやりたい」と思い始め、会社を辞めて、まずは北海道の畜産農場でアルバイトをすることにしました。半年間そこで働きながら、これから自分が山地放牧をやるならどこでどんな牛がよいだろうと考えたときに、ちょうど私の出身である高知県に、放牧にも向いている「土佐あかうし」があることを知りました。そこで県に電話をして「研修先を紹介してもらえないだろうか」と相談したところ、室戸市で土佐あかうしを飼っている農家さんを紹介してもらいました。

新規就農のための助成金をいただいて2年間研修をした後、幸運にもそのまますぐ2017年に同じ室戸市内で独立することができました。というのも、全国には放牧をしたい畜産農家志望の人たちがたくさんいますが、実際に放牧できる土地を探すのは非常に大変なのです。私の場合はとてもありがたいタイミングとご縁で、室戸市内の別の場所で牧場をやっていた方からその場所と牛舎をそのまま譲っていただきました。現在は牛舎も増築し、放牧場も広げ、8ヘクタールの広さとなっています。親牛は29頭いて、そこから生まれた子牛を8~10ヵ月令まで育て、市場に出すという形です。

動物が相手なので、独立して5年経った今でも手探りの日々

毎日の生活は、朝5時に起き、6時頃牛舎に来て仕事開始です。餌やりや牛舎の掃除など、休憩も挟みながら19時半くらいまで仕事をします。牛の出産があるときや、その他のイレギュラーなことが起こればその対応をしたりと、なかなかスケジュール通りにいかないことも多いです。出産の兆候があれば確認のために毎晩牛舎に来たり、3~4時間貼り付けになることもあります。何時でも関係ありません。先日、難産のときには、21時頃に陣痛が始まったものの全然出てこなくて、基本的には呼ばない獣医さんを夜中の1時頃に呼んで来てもらい、親牛の中でおかしな体位になっている赤ちゃんをどうにか戻して、なんとか無事出産した、ということがありました。獣医さんにいつでも気軽に来てもらえるわけではないので、何度経験してもお産のときはいつも不安です。

生き物が相手なので、普段のスケジュール通りにいかないことのほうが多く、畜産農家の大変さを日々実感しています。それでも独立して6年になりました。地域の方にも応援していただいていますし、取材や見学などもたくさんの方に来ていただいています。

妻も移住者で、一緒に牧場で働いてくれています。朝から晩まで、家事と子育てもしながらこの大変な仕事を一緒にやってくれるので、本当にありがたいです。
今後の目標としては、現在の29頭で8ヘクタールの放牧場から、30頭で30ヘクタールまで放牧場を広げたいと思っています。牧草を極力買わず、山に育つ地の草をメインとして親牛を養える経営にしていきたいです。放牧場に芝の牧草も植え始めていて、この芝がよく育ってくれれば、元々理想としていた芝での山地放牧の景色が見えてくるかなと思っています。

苦手な飲み会は無理せず、でも地域に馴染むよう努めています

私は室戸の中でも市街地ではなく山の上の集落に住んでいます。周りに若者や移住者はほとんどおらず、年配の方ばかりの小さい集落です。田舎暮らしは住民との距離が都会と比べて近いとよく言われ、苦手な人も多いと聞きますが、私の場合はあまり気になりませんでした。私の住んでいる集落の人たちは、距離感を気遣ってくれているのがわかります。だからといって距離が遠いわけでもなく、野菜のお裾分けもいただいたり、とても良くしてくれています。ひとつだけ今でも戸惑うのは、宅配便の荷物が、不在のときに家の中の奥のほうに置かれていることですね。田舎なので鍵はかけていないのですが、玄関のすぐ中とかではなく、土間のかなり奥のほうに荷物が置かれています(笑)

私はもともと大人数の飲み会などが苦手で、人付き合いも上手くありません。以前会社勤めをしていたときにそういったことがしんどくて、それから段々と自分のことが分かってきた感じです。なので今は地域や仕事仲間の飲み会などは、苦手だということをちゃんと伝えて、仕事で疲れているときなどはお断りしています。自分も地域のほとんどの方も自営業なので、年齢は違えど、立場は対等で、会社員時代ほど変に気を遣う必要もなくなって楽ですね。もちろんまったく参加しないわけではなくて、私自身この土地でずっとやっていくんだという気持ちがありますから、その意思表示のためにも、地域行事などには積極的に参加するように心がけています。この集落の一員として認めてもらうんだという気持ちでやっています。

移住検討者へのメッセージ

田舎に移住してどんな仕事をするかももちろん大事ですが、その土地に住み続けるにあたっては、地域の人にそこの住民として認められることが一番大事だと思います。だからまずは、その地域の暮らし方や文化・食生活などをよく見て、そういう暮らしを自分自身が楽しそうと思えるかどうかをイメージすることが大切だと思います。その地域の慣習などを見て、そこで自分がずっと暮らしていけるかどうかをしっかり考える。そうやって自分に合った場所、あるいは自分がしたい暮らしに合う場所に住むのが一番よいと思います。


※この記事は、2023年2月24日時点の情報を掲載しております。

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