「自伐型林業」の担い手を育てる明神林業

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高知県の仁淀川町で「自伐型林業」に取り組んでいます
「自伐型林業」の担い手を育てる明神林業

明神林業はこんな会社

高知県は、全国No.1の森林率84%を誇ります。株式会社明神林業があるのは、高知県の中西部に位置する仁淀川町。森林率が約90%とさらに高い森林資源豊富な町です。明神林業は、この町で「自伐型林業」を行い、次世代の育成を行なっています。

「自伐型林業」とは、小型の機械を使って、山に適度に木を残しながら伐採をする林業です。短期的な生産量を追い求める大規模林業と違い、一度にたくさんの木を切らないので長期的に経営を続けることができます。また、山崩れを防いだり、多様な動植物が育ちやすい豊かな森を保つことができる、持続可能な環境保全型の林業なのです。

明神林業の設立は2011年。所有林のメンテナンスを中心とした「自伐型林業」を行なっていた代表取締役 片岡博一さんが、徐々に周囲からの依頼で山林の間伐を行うようになり、法人化した事業体です。

明神林業は、伐採を専門としています。伐採には、木材の健全な生育環境を整備する間伐も含まれます。所有林のほか、民間・行政からの委託を受け木材の伐採と搬出を行うことが主な業務です。

林業は自然相手のためマニュアルが存在するわけではありません。そのため、毎日、すべての現場が勝負です。「一番大切にしているのは技術よりもむしろ考え方。物事には理由があり、突き詰めることが大事。」と片岡さんは言います。目の前の木に対して、どれだけ頭を回転させ、最善の方法を見出すか、その判断を繰り返しながら林業を学んでいきます。

さらに経営のノウハウや独立のために必要な営業交渉についても、しっかりと片岡さんから社員へと伝えていきます。本気で取り組む人に、本気のサポートを行うことで、次の世代の林業家を育てているのです。

時代に合った林業の仕組みを模索する

「効率が良いことが、必ずしも山林にとって良いとは限らない。」と片岡さん。以前は、山に大きな作業道を舗装し、大きな機械を走らせ、大量の原木を運び出すことで効率が上がるとされていました。しかし自然災害の頻発や森林の管理不足により、大型機械の運用が難しい環境が増えました。今は低コストの小規模機械を組み合わせ、工夫することによって伐採が効率的に行える現場が数多くあります。

明神林業では、木の将来を考えて丁寧に伐採し、機械を使用する際もできる限り山林を傷つけない方法を模索しています。時代に合った林業の作業システム作りに日々頭を悩ませています。

自動車産業に匹敵する可能性を秘めた「林業」という仕事

林業は、国や地方自治体も力をいれて取り組んでいる産業で、様々な支援制度が整っています。例えば、「緑の雇用」制度では、雇用の支援と、経験年数、職位に応じた体系的な研修プログラムが用意されています。片岡さんは、こういった支援制度を最大限活用して、地元経済の活性化につなげていくことも使命だと考えています。

明神林業の若手社員も制度を活用して林業を学びつつ、現場作業で経験を積んでいます。林業の繁栄のために、単なる作業者ではなく、技能を有した担い手を育てることが大切だと考えています。

また、林業のPRや従業員やその家族、地域との交流のためによさこいチーム「めごみ」を2016年に立ち上げました。チーム名の由来は、年輪が細かく刻まれた良質な木材を意味する“目込み”から取っています。こうした取り組みをきっかけに、林業に関心をもってもらい、従事する若者を増やすことで、仁淀川町を元気にしたいという思いが込められています。

地域に自伐型林業家を増やしたい

現在、明神林業には20歳~49歳までの9名の社員がおり、一番長い社員で9年目です。片岡さんは「当社は伐採専門です。作業内容はシンプルなので、1年もすれば機械の操作や考え方など基本的なことはできるようになる。」と言いますが、明神林業が目指しているのは「現場作業員の育成」ではなく、それぞれが独立した自伐型林業家となることです。そのため技術だけではなく、自伐型林業家となるために不可欠な、経営・営業に関すること、地域との繋がりについても惜しみなく伝えています。
明神林業は、森だけでなく、人も育てる企業なのです。

企業名:株式会社明神林業
業種:農林水産業
所在地:高知県吾川郡仁淀川町上名野川490番地

※この記事は、2022年7月15日時点の情報を掲載しております。

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