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高知県中西部に位置する佐川町は、NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」のモデルとなった「植物学の父」牧野富太郎博士の出生地でもあります。昔から教育熱心な文教のまちとして栄え、酒造業や農業が盛んで、近年では自伐型林業の推進や佐川産木材と最新技術を組み合わせた新しいものづくりにも力を入れています。 そんな佐川町に令和6年12月「佐川町立図書館 さくと」がオープン!早速行ってきました!
「佐川町立図書館 さくと」(※以下「さくと」)は、JR西佐川駅から徒歩で約10分の場所にあります。佐川町の人々が待ち望んでいた新図書館です。
元々あった図書館の建物は法務局として使われていた施設であったことから、図書館向きに設計されておらず図書館として運営するには困難なことも多かったようです。それでも当時の図書館スタッフと地域住民の協力と創意工夫で運営を続けてきました。そうした状況の中、平成24年に「図書館建設を求める請願書」が4200余筆の署名とともに町へ提出されます。そこから新図書館の建設が検討され、「これからどのような図書館をつくるべきか」という対話を10年以上にわたり重ねて、令和6年12月に完成したのがこの「さくと」です。
図書館としての機能はもちろん、建築やデザインの観点からも専門誌に取り上げられるなど、注目されている図書館でもあります。

※写真左:さくとの象徴的な大黒柱
※写真右:中庭
■自分の気分や活動に合わせて、最適な居場所を見つけることができる 館内は明るく開放的です。入口すぐに見える中庭にはベンチが置いてあり、本を読んだり休憩をしたりすることができます。また、季節の移り変わりを感じられるスペースにもなっています。
館内は目的別にゾーン分けされており、ゆったりと読書を楽しんだり、グループ学習ができたり、子どもの読み聞かせイベントができるスペースはもちろん、飲食・交流学習ができるスペースもあります。自分の気分に合わせた居場所で読書を楽しみ、様々な活動ができます。
■新しい情報に触れ、想像力を刺激され、思索にふけることができる 館内のあちこちに来館者の知的好奇心を広げていくための仕掛けがあります。書棚にはデータベースが閲覧できるタブレット端末が置かれており、多角的に情報を得ることができます。取材当日は、交流や飲食ができるスペースのモニターにナミビア砂漠のライブ映像が流れ、その横に関連書籍があり思わず手に取りたくなる配置になっていました。
また、町内外の事業所が雑誌の年間購入代金を支払って、最新号にスポンサー名を広告する「雑誌スポンサー制度」により、閲覧できる雑誌は同規模の他の図書館よりも充実しているそうです。館内の蔵書が令和に印刷(重刷)されたものが多いのも「さくと」のこだわりだそうです。

※写真左:宇宙に関する書籍の隣にタブレットが置かれ、検索ができるようになっている
※写真右:「雑誌スポンサー制度」で購入された雑誌が並ぶ書棚
■地域の人々の交流拠点として、新しい出会いや経験を得られる
「さくと」がオープンする前の図書館利用者の多くがお母さんと子ども、そして高齢者の方々でした。しかし、オープン後は学生やいわゆるミドル層の利用が増え、前図書館時代からの常連さんに「若い人が増えて嬉しい!」と喜ばれているとのこと。また、佐川町の郷土史を調べた方が交流スペースで発表をしたり、地元の中学生から「読み聞かせ会をしたい」とお手紙が届いたりと地域の交流拠点としての動きも活発になってきています。
※館内のイメージイラストは、「さくとでやりたいこと」を具現化したもの
佐川町では「さくと」を拠点にした地域おこし協力隊を募集中
「さくと」の案内をしてくださった館長の青木さんは、新図書館建設の機運が高まっていた時期に同町の黒岩小学校で校長職を務めていらっしゃいました。当時から、詩人の谷川俊太郎さんや工藤直子さんを町の図書館に招き、子どもたちと作家を繋げるイベントを開催するなど精力的に図書館教育に携わってきたご経歴の持ち主でもあります。令和5年10月に「さくと」の館長に着任されました。
そんな青木さんに「さくと」で行われている活動と現在募集中の「地域おこし協力隊」についてお話を伺いました。
青木さん
佐川町の地域おこし協力隊の卒業隊員が、地域プロジェクトマネージャーとして就任し「さくと」で活躍しています。彼と力を合わせながら、みんなでこの「さくと」を拠点に地域づくりをしようとしているんです。定期的に誰でも気軽に参加できる「図書館活動ミーティング」も開催しているんですよ。ここでアイディアを出し合ったり、実際に具体的な活動に落とし込んだりしています。
地域おこし協力隊の隊員には、「さくと」でのイベントはもちろん、例えば町内にある集落活動センターに出向いて、地域の人、町の人の声を聴き、一緒に盛り上がる企画を作り、もっと「さくと」を中心にして地域の交流の場を作ってほしいと思っています。活動の中で何か迷うことがあれば、「さくと5つのコンセプト※」に立ち返ってもらえればいいかな。できたばかりの図書館なので可能性はたくさんあって、私自身、働いていて毎日楽しいですよ(笑) 「さくと」を育てる楽しみを味わいたい方の活躍を期待しています!
※「さくと5つのコンセプト」とは…
1.一人一人が、自由に情報や知識にふれることができます
2.子どもも大人も、学び合いの輪が広がります
3.すべての人にやさしい読書環境が整えられます
4.佐川ならではの地域資源の収集・保存・活用を進めます
5.町民のみなさん、いっしょに「さくと」を育てましょう
佐川町を訪れる際にはぜひ「さくと」へぜひ足を運んでみてください。
◇佐川町立図書館さくと:https://sakawa-lib.jp/
また、地域おこし協力隊についてのより詳細な条件などは以下をご確認ください。
◇佐川町役場:地域おこし協力隊「新図書館のスタッフ」の募集については
こちら