訪れたい町から住んでみたい町へ。中土佐町ってどんな町?
高知県の中西部に位置する中土佐町は人口約5800人の小さな町。主に土佐湾に面した海岸部と山々に囲まれた台地部のエリアに大きく分かれ、黒潮流れる太平洋から日本最後の清流として名高い四万十川まで楽しめる多彩な景観は魅力の一つです。
町の産業としてとくに有名なのは漁業。中でも高知有数の鰹水揚げの町として知られています。県内外の観光客に人気のスポットは 久礼地区にある久礼大正町市場。名物の鰹だけでなく水揚げされたばかりの様々な海の幸を求めて、毎日多くの観光客でにぎわいます。
このように魅力あふれる中土佐町ですが、実は観光として訪れるだけでなく町に住んでみたいと移住を希望する人も徐々に増えています。その理由は様々ですが移住希望者への地元の方の手厚いサポートも理由の一つとか。「訪れて良し」から「住んで良し」の町に変わろうとしているのです。
移住して初めて暮らす町では不安も多くあります。中土佐町ではそんな不安を少しでも和らげ、さらに移住者同士の交流も深めようと「移住者交流会」を定期的に開催しています。
筆者である移住コンシェルジュ兼森が、7月末に開催された交流会にお邪魔してきました。
きっかけは様々。自分らしい暮らし方を求めてこの町へ。
矢井賀地区にある、太平洋に面した「ライダーズイン中土佐」で開催された「移住者交流会」。
移住して間もない6名の方のほか、移住相談窓口「なかとさLIFE」のスタッフ3名、移住サポーター2名も加わり、にぎやかなイベントがスタートしました。
バーベキューを楽しみながら、和気あいあいとした雰囲気。それぞれの自己紹介が始まりました。
「旅行中、列車の待ち時間に、観光案内でも受けようと移住相談窓口にふらりと立ち寄ったのが最初のきっかけでした」
東京から今年5月に移住してきたばかりの女性が明るい笑顔で話し始めます。前職は教員で、現在は農業の収穫作業や町内の土産店でのお手伝いなどをしているそうです。
当初は全く移住を意識しておらず、窓口で観光案内を受けただけでしたが、東京に戻った後も移住窓口関係の方との交流が続き都内での移住フェアにも参加するように。やがて移住への思いが芽生え始めます。
「私は生まれも育ちも東京なので、故郷=田舎みたいなイメージに憧れがありました。旅行好きで中土佐町をたまたま訪れた際、海、山、温泉もあり、自然が豊か。それに観光客を友達として迎え入れてくれるような人のやさしさがいいな、と思ったんです」
思い切って仕事を退職。まずは1年間お試し移住のつもりで中土佐町へ移り住むことにしたそうです。教員生活から一転して穏やかなスローライフへ。
「自分の時間が持てるようになったのが何よりです。アルバイトもしながら空いた時間は大好きな読書。夏はサーフィンにも挑戦してみたいですね」
と今の暮らしぶりを話してくれた女性。最後にこんなことを話してくれました。
「1回思い切って踏み出してみてよかったと思います。これからの事はゆっくり考えます。違う町に将来は住むかもしれないし。旅するように暮らしてみたいんです」
まさに「人生は旅」を体現しているような暮らし方に、おだやかな中土佐町の風土はぴったりなのかもしれません。
「旅行好きで、高知好きでした。移住場所探しで高知県内を色々回りましたが、中土佐町に絞り町によく遊びに来ていました」
そう自己紹介していた男性は、2年前に滋賀県から移住してきた40歳代の方です。彼もまた、立ち寄った移住相談窓口がきっかけで移住が決まった方の一人。
最近新たにお店を開業したというその男性に興味を持ち、会の終わりに声をかけ、深く話を伺うことにしました。
「町中心部エリアはコンパクトシティーであることが気に入ったのと、移住相談員が身近で寄り添ってくれたことも決め手としては大きかったですね」
移住体験住宅に滞在しながら職、住など生活全般のフォローを受け、環境が整った事から本格的に移り住むことになったのだそうです。
彼が実現させたかったのはコーヒーショップ開業。前職でコーヒーにかかわる仕事についていた経験を活かし、こだわりの豆を使った店を開業するべく、準備を進めたそうです。チャレンジショップ制度の活用や期間限定のコーヒースタンド運営を通じてノウハウを重ね、今年夏ついに久礼大正町市場内に開業しました。
初めての町やビジネスで不安なことも多くあった事でしょう。ご自身の経験を踏まえこれから移住を考える方へ向け、こう話してくれました。
「不安でしたが来てみたら案外なんとかなるものです。自分がやりたいことを発信したらみんな手伝ってくれるんです。そこで気づいたことなのですが、自ら行動する、人任せにしない、自分で動いて周りを味方にする。これが大事なことだと思います」
どうしてもやりたかった仕事をするため中土佐町を選んだ人もいました。
「私たち夫婦も移住者なんです」
今回の会場となった、バイクライダーに人気の宿「ライダーズイン中土佐」管理人である下野博也さん(65)。自らの経験を話してくれました。
営んでいた内装業に区切りをつけ、大阪から中土佐町に夫婦で移り住んで8年目。下野さん自身もバイクが趣味のライダーです。
「ライダーズインが少し元気がないと聞き、以前ツーリングで訪れた際に住んでみたいなと感じていたこともあり、何とか中土佐町のライダーズインに関わりたいと思ったんです」
山も海も好き。老後ここでゆっくり暮らせたらと中土佐町は気になっていたといいます。少し時間はかかったものの、ここでライダーズインを盛り上げたいという熱意が町の関係者に通じ、前任の管理人さんが退職するタイミングで後任として着任。新たな人生がスタートしました。
元々自営業で人とかかわることは苦にならない性格。まず着任して大変だったのは施設の大掃除や修繕、草刈りだったそうです。
「あと、本来の施設の目的であるライダー専門宿にどうしても戻さなければと思っていました」
着任以前は、ライダー以外の宿泊も可能だったようですが、下野さんは本来の宿の理念に立ち返り、苦労を重ねましたが、このコンセプトにこだわりを持ち、それを何とか実現させました。
下野さんもまた、「人」について話します。
「暮らしてみてわかったのは近隣の方からいろんなことを教えてもらえる。例えば魚なら、釣りスポットから仕掛け、さばき方から調理法まで何でも教えてくれるんです。都会では隣人にものを教えたり教えられたりする関係は希薄です。移住したい方にアドバイスするなら怖がらずに地域の方に積極的に話しかけることだということですね」
移住者だった下野さんも今では、移住にあこがれる宿泊客から移住についてのアドバイスを求められることも。そんな時は、漠然とした夢だけでなく「自分がその地で何がしたいか」をよく考えるようアドバイスするのだそうです。
「自分はこのライダーズインを何とかしたいと思ってやってきたから、今があるんです」
地元の方も移住者には期待している!
町から委嘱を受け、移住された方のサポート役となる「移住サポーター」の町田真之介さんも今回の交流会に参加していました。生まれも育ちも中土佐町、今はフルーツトマトを生産する農園を営んでいます。高品質で人気の農作物です。
町田さんに、地元の方目線でアドバイスをと聞くと、こう答えてくれました。
「中土佐はおせっかいで世話好きな人が多いですからね。近所付き合いを円滑に進めるコツは近所に挨拶をきちんとする、自分の家の周りの草刈りは丁寧にするなど心がけると地域に好印象を与えるのではないでしょうか」
地域課題も多く横たわる町ですが、ここには可能性は大いにあるといいます。
「ここは真っ白なキャンバスだと思うのです。仕事を創り出せる人には活躍できるフィールドだと感じます」
中土佐町というキャンバスに、自分の思う将来のデザインをどのように描くか。夢の実現に町田さんをはじめとした地元の方も、きっと応援してくれるに違いありません。
キーワードは「人」。つながりが幸せな移住に導いてくれる
交流会を主催する移住相談窓口「なかとさLIFE」代表の田口瑠美さんは、会を開催する意義についてこう語ってくれました。
「中土佐町に移住してくる方の傾向としては単身が多く、最初は相談窓口である我々との交流しかない方もおられます。私たちがハブとなって移住者の方や地元の方を結び付け、たくさんの方と交流できる場を作りたいと考えています。また開催場所もいろいろ考えています。町内にも未訪問の場所もあるでしょうから、地域を知るきっかけにもしてほしいですね」
人と人をつなぐ役割を心がけている「なかとさLIFE」のスタッフの皆さんの思いに応えるように、交流会をきっかけに移住者間のつながりが生まれているような印象を受けました。
あなたも中土佐町で新しい暮らしをスタートしてみませんか?素敵な人々との出会いが待っていますよ。
中土佐町への移住をご検討の方は中土佐町移住相談窓口のご利用をお勧めします。
「なかとさLIFE」(左記をクリックするとホームページにジャンプします)
高知県高岡郡中土佐町久礼6368
営業時間:8:30~17:00
定休日:水・土 ※事前予約で対応可能
TEL:0889-59-1800
メール:info@nakatosalife.com
高知暮らしをお考えのみなさまのご相談を承ります!
移住までの経緯や高知での生活の様子、地元の方に思いなどを聞きました。
企業就職以外の『高知ならではの多様な働き方』をご提案します。
高知県へのUIターンに関するイベントや移住者向け交流会の情報を掲載しています。
イベント情報や支援情報など、
最新の情報をメールでお知らせします!