移住者インタビュー
中土佐町の沿岸地域の中心地である、久礼お宮さん通り商店街と久礼大正町市場の活性化に取り組んでいます。
青木 貴子さん
子育てを機に日本へ帰国を考えた
大学卒業後、新卒で青年海外協力隊を志望していたのですが、落ちちゃいまして…(笑)その後、地元・広島で出版社、介護職と勤めた後に、ワーキングホリデーでオーストラリアに行き、そこで10年暮らしました。それまでにアメリカ横断やインド放浪とかもして色々あって、やっぱり「海外で生活したい!」という夢が諦められなかったんです。オーストラリアでバックパッカー向けの宿を運営していた夫と出会い、夫が運転する車に揺られること約5時間で恋に落ちて、結婚、出産しました。
子どもが3歳になって「子育てをするにはやっぱり日本の方がいいな」と、ちょうど日本への完全帰国を考えていた頃、中土佐町の宿泊施設「四万十源流の里」の経営者の方から、夫に支配人のオファーがありました。経営者がオーストラリア在住の日本人の方で、現場を任せられる人を探していたそうなんです。
移住先の下見で中土佐町に一目惚れ
さらに言うと、日本各地の移住先候補を下見する中で、私が中土佐町に一目惚れしたんです。だって、まちなかで出会う人たち全員が本当にフレンドリーで!子どもを連れていたら、みんなめっちゃ話しかけてあやしてくれるんですよ。それまで日本に帰る度に、都会の駅やショッピングセンターなどで「静かにしなさい」と口酸っぱく言っていて私も子どももストレスだったのが、ここでは「子どもは賑やかでえいね~」と言ってくれる。それどころか、初対面の大人が一緒に遊んでくれたりもする。日本にこんな場所があるとはビックリでした!
その上、海も川も山もあって、どこを見ても景色が素晴らしいんですもん!しかも、役場の方から紹介された協力隊に私がなれば、家も提供されるし、子どもも保育園に入れられるとのこと。何より、知り合いが誰一人いない土地に引っ越してくるに当たり、地域おこし協力隊になれば地域の人たちと早く仲良くなれそうだし、もうこれだ!と。初訪問から引っ越すまで、4カ月弱ですね。
住んでみると「イメージ以上!」な事ばかり
実際に住んでみるとイメージ以上でした!仕事場の商店街の人たちは最初から「ウェルカム」の雰囲気で迎え入れてくれて、商店街の特産品である一本釣りのカツオのことや地元の食べ物のこと、久礼大正町市場の歴史についてなど、1聞いたら10で返ってくるので、商店街のことをあっという間に理解することができました。最初は土佐弁が全然分かりませんでしたが、今は広島弁まじりですが話せるようになりましたよ。
商店街では年齢関係なく、敬語なども無く、対等な関係で思ったことを言い合える職場環境。そんなところも「オーストラリアみたいだなぁ~」と。何なら60~70代の年輩の方に対して「はーちゃん」とか「えみちゃん」とか、ほぼ全員あだ名で呼ばせてもらっているレベル。雰囲気がすっごく温かくて、いわゆる「ヨソモノ感」なんてゼロです。高知人の、即座に相手のことを考えられる人柄とか、とにかくポジティブな気質とか、ラテン系ですよね?都会みたいに殺伐としてないんですよね。何か失敗しても、「何とかなるわい!」と前向きに受け止めてくれるし、実際どうにかなったりして。「日本でこんな土地があるとは~!」とイメージ以上です(笑)
また、四万十川の目の前にある一軒家は、景色も住み心地も最高です。特にキッチンから見える景色が最高なんですよ。風景画のように季節の移ろいがはっきりしているので、子どもと一緒に植物採集や虫捕り、紅葉狩りに雪遊び、と毎日楽しんでいます。知らない綺麗な花や、初めて見る鳥などもいて、居住環境についてもイメージ以上です!
周りのお子さんを見て、うちの子もこんな風に育てたいと思う
地元の大野見小・中学校は、教育も手厚くてレベルも高いし、上の子が自然と下の子の面倒を見る文化ができていて……お花見会なんかがあると「お母さんたちはお話しするから、あっちで遊ぼう~」って、小学校のお兄ちゃんお姉ちゃんたちが見ず知らずの保育園児である息子の世話も焼いてくれる。うちの子も、こんな風に育てたい!!と思います。
またうちの子どもはよく熱を出したりして急に出勤できなくなったりするのですが、快くフォローしてもらえるだけでなく「よう看(み)ちゃりーや」といつも心配してくれる。そんな商店街の皆さんに、少しでも仕事で恩返しができれば…と思って、日々奮闘中です。
任期後も中土佐町に住み続けたい
協力隊の活動としては、鰹乃国・中土佐町の「久礼大正町市場」がある商店街組合の一員として、HPやSNSでの情報発信、観光案内や取材対応のほか、イベントの企画・広報・運営などを行っていています。
2020年は、20年以上続く「門前市」という商店街イベントをリニューアルする形で「なかとさマーケット」というのを新たに始めました。限られた人手と予算をやりくりするのが難しいですけど、久礼大正町市場には新鮮なカツオや旬の魚を求めて年間約15万人の観光客が高知県内外から来られているので、せっかくならカツオだけでなく中土佐全域の優れたモノや美味しいお店を町内外にアピールする場にしたくて。組合のみなさんは「ここがにぎわうなら何でもやりな!」と挑戦させてくれます。
仕事の面でも、一目惚れした通りの町でした。旦那も移住先もファーストインプレッションで決めたので(笑)私の一目惚れは、信用できますね!卒業後も、何が何でもここに住みたい!
協力隊の任期を終える頃に息子が就学するので、送迎が必要になるのを考えると、現在のポストにそのまま続けるのは正直、難しいんですが……介護の資格も持っているし、オーストラリアでは農場で働いていたし。介護や農業は、どこも人手不足ですからね。自分の生活にあった仕事を探すのは難しくないと思っています。夫も今、中土佐町にはなかった観光協会を新たに立ち上げようと頑張っています。
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