移住者インタビュー
40歳を目前に、転職・移住を決意!家族連れの移住が成功した秘訣は?
川島 将さん
40歳目前で、地方移住を決意
20代で結婚し、3人の子どもたちに恵まれました。家族を養うために一生懸命に仕事をしていましたが、好きな仕事をしているというわけでもなく、多忙を極めていたこともあり、一生続ける仕事ではないと感じていました。
大きな転機となったのは39歳の時です。40歳を超えると転職が難しくなるのではないか、子どもたちが中学生になると転校するのが難しくなるのではないか、と色々な周りの状況を照らし合わせて、環境を変えるなら今しかない!と地方へ移住することを決意しました。
当初は千葉県など関東圏内での移住を検討していましたが、そんな時に東日本大震災が起こります。原発事故のことなどを考えると関東圏で暮らすことに不安を感じるようになり、候補地を広げることにしました。
情報収集している中で高知県が移住フェアを開催することを偶然知り、足を運んでみることにしました。数年前に、家族旅行で高知を訪れていたこともあり、雰囲気はなんとなく知っていましたし、何より趣味のサーフィンを楽しむことができる。まずは参加してみようと、軽い気持ちで向かいました。
初期投資なし!未経験OKの「サラリーマン漁師」
移住フェアで出会ったのが、室戸市の「椎名大敷組合」の求人でした。大好きな海で仕事をしたいという思いはありましたが、「海の仕事=漁師=自分の船を買わないといけないので初期投資がかかる」という敷居の高さを感じていました。漁師という仕事が自分に合っているかも分からない状態で、リスクを負うことはできないと思っていました。
しかし、椎名大敷組合の話を聞いてみると、自分が想像していた漁師のイメージとは異なることが分かりました。定置網漁を行う椎名大敷組合では、給料が安定していて、社会保険にも加入できる。いわゆるサラリーマンのような雇用形態です。会社員という働き方に慣れていて漁業未経験の私にとっては、新規参入しやすい状況が用意されているなと感じました。仕事や生活への不安を払拭するため、移住フェアに2回、漁業フェアに1回と、計3回足を運んで情報収集しました。
その後、実際に室戸市に1週間滞在し、そのうち3日間は漁業研修に参加することにしました。仕事はもちろんですが、家族で地域を見て周り、学校や家など生活環境も下見した上で、移住を決意。2014年9月に家族で室戸市に引っ越してきました。そして正式に椎名大敷組合の一員となり、漁師としての道を歩み始めました。
地域と私たち家族との心地よい距離感とは
私は椎名大敷組合にとって、初めての移住者受け入れでした。そのため私も、組合をはじめとする地域の側も、探り探りコミュニケーションをとっていたことを覚えています。表向きは歓迎してくれていましたが、内心では「どうせすぐ帰るだろう」と思われていたかもしれませんね。笑
移住して1年くらいまでは、仕事もご近所付き合いも、嫌われたくないという思いから愛想よくすることを心がけていました。ですが、このままのコミュニケーションスタイルでは上手くいかないということに気づき始めます。「今度飲みましょう」といった都会では当たり前の社交辞令は、言葉そのまま受け取るのが室戸でのコミュニケーション。飲み会の時には、途中で帰ったら悪いかなと周りの様子を伺っていると、年齢や立場に関係なく1人また1人と勝手に帰って行く。こちらでのコミュニケーションは、ストレートで後腐れのないものだということを少しずつ理解していきました。
そんな気づきを得て、余計な気遣いやまわりくどいコミュニケーションを徐々に辞めていきました。地域の人たちの言うことに耳を傾け、一方で自分たちの主張もきちんと伝える。地域の人、そして私たち双方にとって心地よい距離感やコミュニケーションはどんなものか、夫婦でよく話し合っていました。
日が昇ったら仕事して、日が沈むまでサーフィンを楽しむ
漁師の仕事は日の出とともに始まります。船に乗り込み、港から10分ほど沖にある定置網を設置している漁場へ向かいます。そこで引き上げの作業を2時間ほど行い、港に戻り、水揚げ、その後は網の修繕などを行い、お昼にまた漁場へ行って水揚げを行ったら、午後2時くらいに終業です。
私の場合は、そこから同僚とともにサーフィンを夕暮れまで楽しみます。というのも、実は自宅の前がサーフスポット。神奈川に住んでいた頃はたまにしか行けなかったサーフィンも、ここでは毎日のルーティンとなっています。趣味に費やせる時間がたっぷりと取れるのは、この仕事のいいところだと思います。
一方で、漁師という仕事は自然とともにあるので、台風などがきた時には荒れる海で作業をしなければなりません。危険と隣り合わせの、気が抜けない仕事です。
求む移住者!漁師の仲間を増やしたい
私は初めての移住者として椎名大敷組合にやってきましたが、今では職員の半数近くが移住者となっています。もちろん皆、未経験からスタートしました。何も分からない状態から始め、今では組合の中核を担う存在となっています。
これからも椎名地区の漁業を守り、発展させていくためには20代、30代の若い力が必要です。これからは、若い仲間を増やし、育てていくことに取り組んでいきたいです。
取材を終えて(編集後記)
川島さんの勤める「椎名大敷組合」の働き方は、一般的にイメージする「漁師」とは異なる「サラリーマン漁師」。漁師にも遠洋漁業、近海漁業など様々な働き方があるのです。「サラリーマン漁師」は、特に県外から移住する方にとっては参入しやすい働き方かもしれませんね。「仲間を募集中!」とのことなので、興味を持った方は川島さんに相談してみてはいかがでしょうか。
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