移住者インタビュー
地域おこし協力隊として本山町に着任し、任期後も地域に残った中井勇介さんのインタビューです。
中井 勇介さん
―移住される前はどのように情報収集されましたか
大阪での学生時代に、地域でのイベントやワークショップの開催など地域に出て学ぶ機会が多く、大学院修了前には「まちづくりがしたい」という想いをもつようになりました。
「地域おこし協力隊」という仕事は、お世話になっていた先生に紹介していただいたことで知り、興味を持ちました。実はそれまで高知には行ったこともなかったし、ましてや本山町という山間の地域で自分のやりたいことができるのか半信半疑でした。ですが、「中山間地域こそ日本の最先端」という恩師の言葉に動かされ、高知に来ることを決めました。
―地域おこし協力隊当時のミッション
着任から1か月の間は役場の人が町内のいろいろな場所を案内してくれたり、農家さんや森林組合の方に会わせてくれたりと、本山町という場所や人を知る事ができました。1か月たった時に、ぱったりとどこにも行かない日があり、「ここから自分たちで動かないといけないんだな」と感じました。そこから自分たちでの活動が始まりました。
本山町から地域おこし協力隊に与えられたミッションは“起業と定住を目指して3年間活動してください”ということのみ。自分のしたかった「まちづくり」を仕事にするにはいろんなことができた方がいいので、興味のある方向を中心に、林業やマコモタケの栽培、イベントなどできる限り動き回りました。
―活動中苦労したこと、やってみてよかったこと
周りの人がすごく良くしてくれたので、苦労したことは特にないですね。
もし、自分のやりたいことなどが思うように進まなくても、思考を転換して別の方法や進め方を考えるように心がけているので、それも良かったのかもしれません。
―任期中の定住に向けた取り組み、決め手となった出来事など
任期途中から「住むなら大石がいいな」と考えるようになり、地区の人たちに聞き始めました。それから空き家を借りられるまでには1年ほどかかってしまいましたが、無事大石地区で空き家を借りることができ、現在でもそこに住んでいます。
その大石地区にクラインガルテンを造ることが任期中に決まり、大石農事組合法人(農家さんたちの組合)から「中井さんがやってくれるんやったら、手を挙げる」と指定管理者に団体として応募する提案がありました。結果、地元団体で受託できるようになり、現在管理人としての仕事もさせていただいています。
地域の人に「中井さんには本山に住んでもらわんといかんね。」と言ってもらえる事がとても嬉しいです。皆さんに必要とされていることはこの上ないことですが、自分が地域の為に何かできるようになるまでにはまだまだなので、地道に活動を続けていきたいと考えています。
―今の暮らしぶり、仕事など
週3~4日は、クラインガルテンの管理人として働いています。その他、週1回の木の駅ひだかや、もとやま森援隊、たんころクラブなどの林業関係の活動のほか、春には元地域おこし協力隊のみんなでつくった団体「山の暮らし研究所」で、新しく着任した地域おこし協力隊への研修なども担当しました。その他にも複数の小さな仕事を積み重ねて生活しているので、周りの方々に支えられてなんとか成り立っています。(笑)
―これからについて
いろいろな地域のことを知り、いろいろな場所を行き来しながら生活していきたいです。そのためには、まずは本山町のこと。地域の人に本当に支えられて今の自分があると感じているので、恩返しの意味でも役に立つスキルを身に着けたいです。
ただ、「地域にとって必要なこと・やってほしいこと」と「自分のやりたいこと」が必ずしも同じというわけではないので、どちらも大切にしながらどうバランスをとっていくのか、というのが今後の課題ですね。
―地域おこし協力隊を目指す人へのメッセージ
地域の方や役場の方、お世話になる周囲の方々とのコミュニケーションは特に大事にすることを心がけた方が良いと思います。また、役場、地域、協力隊でビジョンや価値観を共有していくことも重要です。地域おこし協力隊になったからには、「地域おこし協力隊だからこそできること」があるはずで、それと「自分本来のやりたいこと」をうまくリンクさせるといいと思います。
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