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大好きな地元商店街へ 家族で“微住”

掲載日:2025.02.10
Profile
2024年 微住(Uターン予定)
職業 育児休業中
上岡さん Kamioka
横浜市→高知市

出産を機に家族でUIターンを検討

 高知市の菜園場(さえんば)商店街で4人兄弟の長女として生まれ育ちました。 昔、曾祖父が今の実家で銭湯を経営していて、私たち家族も商店街の中で暮らしてきました。 大学進学を機に東京へ出て、そのまま就職し結婚。 神奈川県横浜市で暮らしていましたが、里帰り出産のため2024年1月に高知へ戻ってきました。 すると夫がこっちの様子を見に来るたびに、「高知で暮らしたい」と言いはじめて。 最初は「すぐに来たい」と言っていたんですけど、夫はフリーランスのパーソナルトレーナー。 仕事をどうするかを決めずに、いきなり来るのは難しいよと。 でも、地域で暮らすように滞在する“微住”というスタイルがあることを聞いて、頻繁に高知に滞在しながら少しずつ計画を進めることにしました。 夫は東京生まれの東京育ちで、旅行もあまりしてこなかったタイプで、高知へ初めて来た時は、海外に来たような感覚だったそう。 高知は人が多くなくて空気もご飯もおいしいところが気に入ったようです。夫の方の熱がすごくて。「ちょっと落ち着いて」っていうぐらいです(笑)。

通いながら人とのつながりを築く

 夫は思い立ったらすぐ行動したいタイプ。 ネットで調べるよりも、とにかく実際に行こう、ということで、すぐに「高知県UIターンサポートセンター」を訪ねました。 アポなしだったんですけど、仕事のことや住まい、病院、交通、買い物、各市町村の支援の内容など丁寧に教えていただいてありがたかったです。
 いま夫は月1回高知に来て、こうちスタートアップパーク(高知県の起業支援)の交流会などいろんな集まりに参加して人脈をつくっています。 夏のよさこい祭りでは、商店街が競演場になるので、審査員として街を盛り上げたり、活躍の幅も広がっています。 最近では、「最終的に人生を終えるのは高知がいい」と言うようになりました。 商店街の人がすれ違ったら挨拶してくれるなど、東京より人と人とのつながりが深く、それがまた心地良いようです。

安心感を与えてくれる環境

 高知に戻ってきて気づいたのは、空間が広いこと。 都会の繁華街などと比べると、商店街は人の数はもちろん、看板などのサインがあまりなく視覚的な情報が少ないためか落ち着きますね。 外に出て日光を浴びて空を見るだけで心が晴れる感じがします。
 今は、シャッターが閉まったままの店舗もあり、幼い頃に見ていた雰囲気とは違っていますが、 代わりにカフェやアートスペースなど新しい店舗も入ってきています。 地元の人たちが喜んで迎えてくれる雰囲気があるので来やすいんじゃないかな。 来てくれた人たちも精力的に盛り上げようとするなど、地域に思いを持っている人が多いんじゃないかと思います。
 「移住者交流会」も開かれていて夫も楽しんで参加しています。 いずれはこの商店街の近くに部屋を借りて仕事もできたらと考えています。 私、この商店街が好きなんです。にぎやかだし、アーケードで雨風もしのげるし、 娘とお散歩していても「大きくなったねえ」と声をかけてくれるし、安心して子育てができます。

夢は「高知で子どものための仕事を」

 今後は一度、神奈川県に戻って、夫と共に長期的な計画で高知での暮らしを考えようと話し合っています。 今は介護の仕事(育休中)をしていますが、いずれは高知で子どもたちのための仕事をしたいと思っています。 すべての子どもが自分の生きたいように生きていけるように育ってほしいし、それが叶うような仕事をしたいです。 人間関係でしんどい思いをしている子たちのサポートができたらと。 都会はいろいろな仕事やサービスがあるけど、その分「自分は何で生きていくか」ということを見失いそうになります。 高知は都会に比べてシンプルなので、「自分はこのサービスや仕事で地域を元気にするんだ」という目標を見つけて頑張りやすいんじゃないかな。 その方が心身ともに健やかに働けて、やりがいにもつながると思います。
 上岡さんが育った菜園場商店街は、魚屋や八百屋など古くからの店に、若者が営むカフェなどが混在し魅力に満ちた場所でした。 取材中もお店の人となごやかに話しこむ姿を眺めていると、 「この間も、私が小さい時に、商店街の氏神様で大きな音で拍手を打っていたことを覚えてくれていた方から『あのときの子かね』と話が盛り上がったんです」と嬉しそうに付け加えられました。 温かな環境に身を置き、おだやかな表情で子育てをする上岡さん。夢が叶う日が来ることを心から願っています。
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