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「子育ては地元で」高知でのびのび育てる

掲載日:2025.02.10
Profile
2019 年 9 月  妻:Uターン、夫:Iターン 
妻:biologico hanna(ビオロジコハンナ)
  アロマセラピスト
夫:biologico hanna(ビオロジコハンナ)
  営業・商品開発、学習塾経営
高松さんご夫妻
兵庫県→田野町

勢い半分で決めた田野町での暮らし

(夫)
 第一子が生まれたのをきっかけに、妻の地元である田野町へ来ました。 そもそも僕自身、田舎で子育てをすることに憧れがあったんです。 田野町には、以前からよく遊びに来ていて、きれいな海岸が歩いて行ける距離にあったり、自然が豊かで、人も温かくて、 時間がゆったり流れているのがすごく魅力的でした。 いつか子どもが生まれたら、こんな場所でのびのび子育てができたらいいな、なんて漠然と思っていました。
 そんな中、妻が第一子を妊娠し、里帰り出産のために田野町の実家へ帰省することに。 その間、一人でゆっくり考える時間があって「やっぱり自分も田野町で暮らしたい」という思いが日に日に強くなっていったんです。 それで、ある日電話で妻に「やっぱり僕が、そっちに行くよ」って伝えました。 そこからは本当にあっという間で、電話で話してから1週間ほどで田野町に引っ越しました。 それまで続けていた家業の造園業も兄弟に託すことになりましたが、父も「お前には田野町が合っていると思う。 絶対行った方がいい」と背中を押してくれて、本当にありがたかったです。

(妻)
 もともとは、出産後に少しゆっくりしてから、また兵庫県加古川市に戻って子育てをするつもりでした。 私は大学で神戸に出て就職し、その後アロマセラピストの資格を取って独立していました。 神戸や大阪に近いので、買い物や遊べる施設もたくさんあって充実していましたので、そこでの生活は楽しかったですし、 都会に近い場所で子育てをするのもいいなと思っていました。 なので、夫から「田野町で暮らしたい」と言われた時は、正直ちょっと迷いましたね。 ただ、夫は子どもが生まれる前から、地元の海沿いを散歩しながら「いつか高知に住んでみたいね」って、よく話していたので。 その言葉が心に残っていたせいか「今がそのタイミングなのかも」と自然と思えるようになり、決心しました。

人が温かく、ごはんもおいしい幸せな毎日

(夫)
 こっちに来てからは、自然の中でのんびり暮らせるのが気持ちいいですね。 それに、ご近所さんをはじめ、地域の方々が本当に温かくて。 人と人との距離が近いところが、僕にはすごく心地いいです。 特に驚いたのが、ご近所さん同士で家を行き来する文化ですね。 結婚前に遊びに来た時も、親しいご近所さんが家に来てご飯を作ってくれて、 それをごちそうになったことがあったんです。こんなの初めてで、びっくりしました。
 それから、こっちに引っ越す前から、海沿いを散歩していると、会う人会う人に「○○ちゃん(妻)の旦那さんやね」って声をかけられて。 みかんやら、いろんなものをもらったりして、本当に歓迎されていると感じました。 地域のみなさんが、僕たちのことも子どものことも、まるで自分の家族みたいにかわいがってくれるんです。 僕は子どもの頃から、ここまで密な近所付き合いをしたことがなかったので、いい意味でカルチャーショックでしたね。

(妻)
 昔より人口も減ったし、街並みもちょっと変わったところはあるんですけど、 子どもの頃かわいがってくれたおばちゃんが今も元気で、相変わらず親切にしてくれたり。 そういう人との関わりは田舎ならではですし、やっぱりほっとします。

(夫)
 あとは、なんと言っても食べ物がおいしい。特にお刺身は別格ですね。 加古川市のスーパーでも高知県産の野菜や魚を結構見かけるんですけど、やっぱり地元で食べると全然違うんです。 車で少し行けば、その日に獲れた魚をさばいて刺身にしてくれる魚屋さんもあって、鮮度も味も格別です。

(妻)
 うちの子も魚が大好きなんですよ。私自身も子どもの頃からおいしい魚を食べて育ったので、それを我が子にも食べさせてあげられるのはうれしいですね。

家族や周りの協力を得て、マイペースに働ける喜び

(妻)
 仕事は、結婚前から続けているアロマセラピストとアロマの講師をしています。 もともと母がやっていたアロマサロンの横に新しくお店を増設し、夫と母の三人体制で運営しています。

(夫)
 僕は、妻と義母がやっているアロマサロンで営業や商品開発の仕事をしながら、地域の小中学生を対象にした学習塾も開いています。 実は学生時代に塾の講師や家庭教師をしていた経験があったんですが、それを地域の方々に話したところ「この町には塾がないき、ぜひやってほしい」と何人もの方に頼まれて。 そんな風に言ってもらえるなら、やってみようかなと始めました。 ここに来たばかりの時は、正直仕事のあてもなく「まあ何とかなるだろう」と、のんきに構えていたんですけど。 でも、周りの方たちが「こういう仕事があるよ」とか「どこそこで人を募集しゆうみたいで」と、いろんな情報を持ってきてくれたんです。 みんなでサポートしてくれている感じがして、ありがたかったですね。

(妻)
 加古川市に住んでいた頃は、神戸市内のサロンまで通勤していました。 電車で40分くらいの距離なんですが、ラッシュに重なる日もあれば、事故で電車が止まることもあったりして。 スーパーに行くにしても、渋滞を避けて時間を考えたり、人の流れに合わせることが多かったですね。 でも、こちらではそういうストレスは全くないです。

(夫)
 以前は、実家の造園会社で父と一緒に職人として働いていました。 朝が早くて、土日も仕事が入ることが多かったので、忙しい毎日でしたね。 でも、今は子どもの行事に合わせて休みを設定したり、自分たちのペースで仕事ができるようになったので、助かっています。

地域全体で育まれる子どもの成長

(妻)
 子どもが小さいうちは、急に体調を崩したり、想像以上に大変なことがいろいろありますよね。 そんな時、親が近くにいてくれるのは本当に心強いです。 それに、私たちや母がどうしても仕事の都合がつかない時は、ご近所の方が子どもを預かってくれるんです。 迎えに行くと、ご飯まで食べさせてもらっていて、もう感謝しかないですね。

(夫)
 町のみなさんが、うちの子どもを本当にかわいがってくれるんですよ。 まるで地域全体で子育てをしてくれているような感覚です。 だから僕らも心に余裕ができて、子育てを楽しめているのかなと思います。 何よりも、みなさんの愛情をたっぷり受けながら、自然の中でのびのびと育っている娘の姿を見ていると「ここに来て本当によかったな」ってしみじみ思いますね。

(妻)
 子どもを連れて近くの海に散歩に行くことが多いんですけど、砂浜でシーグラスを探したり、波と遊んだりするだけで、すごく楽しそうで。 お金をかけずに、こんなに近場で楽しめるんだなって、新しい発見でしたね。 たまに関西のアミューズメント施設に行きたくなったら、車で行けばいいかなと思っています。 ここからだと片道4時間くらいなので、そこまで遠く感じないですし、いい気分転換になりそうです。

地域活動を通じて広がるつながり

(夫)
 子どもが幼稚園に通い出してからは、同世代の親御さんとのつながりもできて、 一緒にイベントやお祭りを企画したり、地域のみんなで楽しめることをやっていこうという仲間もできました。 主な活動では、コロナ禍以降中止になっていた子どもたち向けの夏祭りを復活させたり、廃部になっていた少年野球チームを再結成したりしました。 子どもたちが元気に遊んだり、活動している姿を見ると、地域全体が明るく活気づいているなと感じます。

(妻)
 2022年には、私たちが主催する「シーサイドマルシェ」を初めて開催しました。 高知県内から複数の事業者さんが集まってくれて、心地よい海風を感じながら、グルメや雑貨を楽しめるイベントとしてスタートしました。 おかげさまで今年で4年目を迎えます。このイベントが実現できたのは、事業者さんはもちろん、地域のみなさんの協力があったからこそです。 何より、私たちに対して最初からウェルカムな雰囲気で接してくれた地域の方々のおかげで、こういったイベントをやってみようという原動力が生まれましたね。

高知へのUIターンを考えている方へ

 僕たちの場合は、これまで何度も妻の地元に来ていたこともあって、ほとんど準備はしていませんので参考にならないかもしれませんが…。でも、UIターンを考えているなら、情報収集は大事だと思いますね。
 例えば、こういうサイトで情報を集めたり、高知県が主催している対面の相談会やオンライン相談を活用するのがおすすめです。気になることや不安なことがあれば、事前にしっかり聞いておくと安心できると思います。
 とはいえ、あんまり考えすぎると、逆に動けなくなることもありますよね。だから、ある程度の勢いと「なんとかなるさ」という気持ちも大事じゃないかなと思います。
 高知の人たちは本当に世話好きで、困っている人を見ると力になりたいと思う方が多いんです。なので、困った時には遠慮せず頼ってみるのがいいですよ。思った以上に親切に力を貸してくれるはずです。
 豊かな自然、人の優しさ、新しい試みを迎え入れてくれる地域の懐の深さなど、田野町での暮らしの魅力が伝わってくる取材でした。
 特に印象的だったのは「地域全体で子育てをしている感覚」という言葉。 地域の方々の助けを得ながら、自然の中で子どもを育てる様子は、多くの人にとって理想的な子育ての形ではないでしょうか。 この記事が、移住を検討している方々にとって、新しい一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
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