共に迎えましょう、100年。そして、その先へ
会社の制度歴史についてインタビューしました!
お話を伺った方:お話を伺った方:生産管理部長 北村 和之さん
「イズイ無くして、マグロ揚がらず」
泉井鐵工所は大正12年の創業以来、90余年にわたって漁撈(ぎょろう)・舶用甲板機械の開発・製造・販売を行っています。マグロ延縄捲揚機(はえなわまきあげき)の「ラインホーラー」や、船上の甲板機械の「ウィンチ」など、同社の製品は世界の海で活躍し続けています。
特に、「ラインホーラー」については、国内シェア90%以上を誇っており、マグロ延縄業界では『イズイ無くして、マグロ揚がらず』と言われるほど、高い信頼と評価を得ています。
平成29年には、生産体制の強化とBCP(Business Continuity Planning/事業継続計画)対策を兼ねて、香南市に工場を新設しました。この香南工場には、後継者不在で廃業した元溶接作業委託先の従業員を受け入れており、現在は合計20名ほどの社員が稼働中。今後も、更なる工場の拡大を視野に入れています。
イズイのモノづくりについて熱く語る北村さん
安全に操業できる機械装置を作りたい
創業者故・泉井安吉は、明治35年に高知県室戸市で漁師の家に生まれ、小学校を卒業するとマグロ船に乗るようになりました。当時、マグロ漁の延縄船は命がけ。船の遭難も頻発しており、荒波での操業中に海に投げ出されて命を失う船員も多かったのです。少年も航海中に海に投げ出されましたが、なんとか無事に救出され九死に一生を得ました。
その経験から「安全に操業できる延縄捲揚機をつくりたい」と決意して、船を降りたのです。安吉少年はその後、関西にわたり、昼間は鉄工所で丁稚奉公をしながら夜間に機械設計を学びました。大正12年に室戸市へ戻り、泉井鐵工所を創立。当時の船舶主機関である焼玉エンジンの修理を生業としながら、夜はマグロ延縄捲揚機の設計開発に取り組み続けました。そして、ついに当時のマグロ延縄漁業における唯一の漁業機械であり、延縄漁業発展の基となった「ラインホーラー」を誕生させたのです。
開発当初こそ経済恐慌の影響を受けて売れ行きが芳しくなかったものの、昭和のはじめ頃、台湾での売り込みに成功してからは、一躍国内外の業者から注目を浴びるようになったのです。第二次世界大戦後は、マグロ以外にもサケ・マス用の流し刺し網捲揚機「ネットホーラー」などの開発も手がけました。また、更なる改良を加えた「ラインホーラー」は、昭和28年国連食糧農業機関で紹介されたことを機に、海外にも販路が拡がりました。
昭和30年、泉井安吉はマグロ延縄捲揚機の発明と産業の発展に貢献した功績により、紫綬褒章を受章。その後も地元の名士として、室戸市に貢献し続けました。「安全に操業できる装置を作りたい」という創業者の熱い想いと高い志は、現在も引き継がれています。
創業時の工場
泉井安吉少年(左)、昭和30年に紫綬褒章を受章(右)
過酷な作業の連続であったマグロ延縄漁
マグロ延縄漁の救世主と言われた泉井鐵工所。いったいマグロ延縄漁とはどのようなものなのでしょうか。
マグロ延縄漁は、長さ150kmにおよぶ幹縄に約3000本の釣り針と餌が付いた枝縄を取り付けて、マグロを漁獲します。海に延縄を設置する作業を「投縄」、回収する作業を「揚縄」と言いますが、非常に過酷な作業。1回の操業で、投縄は4~5時間、揚縄は10~15時間ほど作業が続きます。マグロ延縄漁は、船が海にいったん出てから陸に戻るまでが長く、その期間が1年以上の航海、漁の操業日数も年平均250日にもなります。操業中は、船の燃油補給や乗組員の休養のために約3ヶ月に一度は外国の港に寄港するのが一般的。
それを鑑みると、泉井安吉時代のマグロ延縄漁がいかに重労働で、命がけの作業だったかがわかります。「ラインホーラー」の登場が、マグロ漁船の乗組員の負担を減らし、安全を守ってきたといっても過言ではありません。
船上の力仕事を一手に引き受けるウィンチ
「ウィンチ」とは、巻胴(ドラム)にワイヤロープやチェーンを巻いて重量物のつり上げや移動に使用する機械です。泉井鐵工所では、マグロ延縄用漁労機械で培った油圧技術を活かし、底曳き網を巻き揚げる『トロールウィンチ』をはじめとする各種漁労ウィンチ、貨物等を巻き揚げる『カーゴウィンチ』、港湾工事を行う浚渫船(しゅんせつせん)の『操船ウィンチ』を製造。海上で活躍する船の力仕事を一手に引き受ける、重要な役割を担っています。
平成25年には、それまでの漁労ウィンチの製作実績と技術が認められ、川崎重工業株式会社から漁労ビジネス事業の譲渡を受けました。泉井鐵工所が持つ確かな技術は大手企業に負けないものであり、譲り受けた事業基盤をもとにさらなる発展を目指しています。
製造している「スパットウィンチ」
働きやすい企業を目指して
泉井鐵工所は2023年に創業100周年を迎えます。
その節目に向けて社内で様々な取り組みが始まっています。その1つとして、社員の満足度を高めるための働き方改革として、産休育休、介護休暇のほか、有給休暇を取りやすい仕組みを検討しています。「製造業なので、月に数回土曜日も稼働していますが、社員の要望があり土曜の稼働日を減らすことを話し合っています。」と総務部長の北村さん。
社員が長期間、能力をより発揮して働ける職場環境を目指して改革を進めています。現在、社内で最も勤務歴が長い社員は70代で、なんと勤続57年。香南工場が新設されて増えた若手社員に熟練の技術を後輩へ伝える役割も担っています。大先輩から技術を継承して自身のスキルアップにつなげようと、若手社員も積極的に指導を受けています。そうやって、全ての層の社員がそれぞれにやりがいをもって仕事に取り組んでいるのが泉井鐵工所です。
泉井鐵工所のものづくりには、いつも熱い想いが込められています。今後も「ユーザーの立場に立つ、信頼される“ものづくり”」をモットーに、技術の向上を目指して、挑戦し続けていきます。
地元・室戸市の中学生を職場体験で受け入れ。「モノづくりを好きになってもらえたら」と願う。
漁業を支える確かな技術
地元経済に貢献
・ものづくりが好きな方
企業情報
- 企業名
- 株式会社泉井鐡工所
- 業種
- 製造業
- 住所
- 室戸市浮津18番地
- 設立年月日
- 1923年5月
- 代表
- 泉井 安久
- 資本金
- 4,360万円
- 従業員数
- 男性74名 女性9名
- 採用担当(連絡先)
- 0887-23-2111(業務部:岡本)
採用関連情報
- 新卒初任給
- 200,000円(大卒)
- モデル年収
- ・354万/45歳 中途18年(現場)一般
・322万/32歳 中途10年(現場)一般
・276万/21歳 新卒3年(技術)一般 - 自己啓発支援
- なし
- 研修制度
- 入社後外部講師による初任者講習、外部専門家による技術講習等
社内勉強会 - 有給消化日数
- 9.2日
- 平均年齢
- 44.8歳
- 新卒・中途就業状況
-
採用者数:新卒2人/中途16人
採用者数のうち離職者数:新卒1人/中途2人