今回訪れた「いの町本川地域」の集落活動センター「氷室の里」は、四国山脈に抱かれた「奥土佐」とも呼ばれている山深い地域にあります。吉野川の源流域にあたる周囲の急峻な山々にはモミやブナの森があり、手つかずの自然が広がっています。

「氷室の里」までの道のり
高知市内から愛媛県西条市を結ぶ国道194号線を仁淀川に沿って北に向かい、いの町本川総合支所のある長沢からは県道に入ります。今度は吉野川に沿ってさらに30分ほど遡ると、川向うに廃園となった幼稚園を改修した「氷室の里」が見えてきました。

ちなみに、この県道を更に北に進むと四国山脈の尾根に出ます。そこからはテレビCMで有名になった「UFOライン」という観光道路が尾根伝いに伸びています。ここからの景観は素晴らしく最高のドライブコースです。

 

「氷室の里」の成り立ち
氷室の里」のある寺川・越裏門(えりもん)地区は古くは江戸時代から林業が盛んで、近代に入っても山腹を林用軌道が走るなど林業が基幹産業として栄えていましたが、1970年代頃から林業が衰退するとともに人口流出が始まり、今では人口約70名、高齢化率は80%を超える高知県内でも有数の過疎高齢化の進んだ地区となっています。その一方で集落への愛着を感じ、集落を何とかしようと考えた人たちが集まり、地域ぐるみで1988年に「越裏門・寺川村おこし協議会」が結成されました。その後、同協議会を引き継ぐ形で、2016年に集落活動センター「氷室の里」が立ち上がりました。


現在は「氷室まつり」に代表されるイベント活動や野生に近い環境で育てる「原木まいたけ」などのきのこの生産・販売活動に取り組み、地域住民の集いの場として集落活動の維持や交流人口の増加を目指しています。「氷室の里」で活動されるメンバーの中には移住者の方もいらっしゃるとのことで、そのおふたりにもお話を伺いました。


移住者のおふたりのこと

東京出身の島崎さん(写真左)は都会を離れようと移住先を探す中、高知移住した友人を訪ねて1ヶ月ほど滞在したのをきっかけに、本川地域の協力隊へ応募。条件が良かったことに加え役場担当者がとても親身になってくれたことも決め手のひとつだったようです。現在2年目となる協力隊の活動のほか、プライベートでは農業にも挑戦中だそうです。

大阪出身の江田さん(写真右)は3年前に集落支援員の募集を見つけてここ本川地域へ。他県で田舎暮らしの経験もあったため、移住に対しそれほど抵抗はなかったとのことで、水がきれいなこの場所がとても気に入っているそう。休日は自家製の味噌づくりをするなど、ここでの暮らしを楽しんでいらっしゃいます。

本川地域は、県内一の寒冷地といわれ冬には厳しい寒さが訪れます。気になる冬季の暮らしについて尋ねると、「冬を楽しむことこそが本川暮らしの魅力」とおふたりそろって誇らしげにそう答えてくれました。またその楽しみ方を教えてくれるのは、一緒に活動する地域の人々なのだそうです。

氷室の里」でつながった地域の人々とおふたりは、敬語を使うこともなくすっかり家族のように打ち解けていたのがとても印象的でした。初対面の私たちにも地元でとれた美味しいものでおもてなしをしてくださり、地域の温かさに包まれた時間となりました。