四万十川にかかる高瀬の沈下橋を渡ると、そこにはのどかな田園風景と小さな集落があります。
この地でご自身の夢を叶え、ここでしかできない豊かな暮らしを営むご家族を訪ねました。
Q.高知に移住したきっかけと経緯
語学習得のためニュージーランドに1年間滞在していたのですが、その時よく利用していたのがゲストハウス。「人との繋がり」を通じて、ガイドブックには載らないローカルな情報が得られることに大きな魅力を感じて、民宿経営の夢を描くようになりました。
帰国後、出身地でもある四国への移住と開業を検討する中、サーフィンやマウンテンバイクなど自然と戯れることの好きな自分にぴったりの四万十市に辿り着き、NPO法人「四万十市への移住を支援する会」の方々と出会いました。地域の特色を知り尽くした皆さんから現在の「住居兼民宿」の物件を紹介していただき、10年過ごした東京を離れ家族で新しいスタートをきりました。
Q.四万十市での暮らし
移住してからはとにかく高知の“人のおもしろさ”を実感しています。例えば、若者に混じってサーフィンを楽しむ年配のローカルには、ニュージーランドで出会った人達と似た気質を感じます。皆さん陽気でウェルカムな雰囲気がありますし、何でもポジティブに応援してくれる方が沢山いて、区長さんもそのひとりです。時々宿までの道を迷われる方がいらっしゃいますが、そんな時近くの田んぼで作業をしている区長さんが道案内をしてくれているそうです。様々な面で温かくサポートしてもらい、大家さんや近所の方ともいい距離感でのお付き合いができています。
苦労していることはそれほど無いのですが、虫が苦手な妻は、娘がまだ小さいこともあってその遭遇率の高さとサイズの大きさに少し困惑しています。私はもう慣れましたので、率先して駆除役にまわっているところです。
Q.現在のお仕事、開業について
宿泊業を始めるにあたり、慣れない手続きに少し苦労もありましたが、物件のコンディションが良好だったため、ふすまの張替えやエアコンの設置程度の手直しで営業を始めることができました。Airbnbなどのサイトを通じて国内だけでなく海外の方からコンスタントに予約をいただいています。縁側でゆっくりとコーヒーを飲んでくつろいだり、目の前に広がる風景に癒されたり、ここでしか味わえない時間を過ごして喜んでくださるお客さんの姿がモチベーションに繋がっていますね。冬はオフシーズンになるので、冬前のこれからが勝負です。様々な国からのゲストをお迎えする体験は驚きと気づきの連続ですが、沢山のフィードバックを得ながら成長していきたいです。
Q.今後挑戦したいこと
宿泊のみにとどまらず、食事の提供もしていきたいですね。まずは大家さんの田んぼを手伝いながら、今後は稲作にも挑戦するつもりです。畑も借りているので家庭菜園で採れた野菜や自分で作ったお米を朝食で提供できたら最高ですよね!
あと自宅から往復20kmほどの素晴らしいサイクリングコースがあるのでそのガイドもやってみたいです。
Q.これから移住を考えている方へメッセージ
あまり考えすぎないこと、そして沢山の人に会ってみること。自分自身が楽しんで、何でも面白がって挑戦することでポジティブに応援してくれる人たちとの出会いがあるはずです。私自身、東京にいる友人から羨ましがられることがモチベーションのひとつですが、そんな都会にはない豊かさ、暮らしがここにはあります。